そうくるのか。「ガルパン」の小ネタを細かく載せた「アルティメットガイド」、大洗のお店をずらり網羅しまくった「トラベルガイド」。ガルパン本はまだまだ尽きません。

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OVAと劇場版を前に、廣済堂出版から『ガールズ&パンツァー』本シリーズが出版されています。
正直、今さら何出すんだろう?という疑問はありました。

キャラ・エピソード・インタビューをまとめた決定版ガイドは、学研から『ガールズ&パンツァーコンプリートブック』が出ています。
登場する戦車ガイドとしては、大日本絵画から『アハトゥンク・ガールズ&パンツァー』がガチなのを出しています。
あとは何やるの?

●骨の髄までガルパンをしゃぶりつくす
意外なところついてきました。

まず『ガルパン・アルティメット・ガイド ガールズ&パンツァーを100倍楽しむ本』。
基本的にはインタビュー集なので、キャラやエピソードを追いたい人は『コンプリートブック』の方がいいです。
この本がやっているのは重箱の隅つつき大会です。

例えば、一年生の丸山紗希が読んでいた本は一体なにかとか、作中の大洗町にはミリタリーネタがいっぱい隠されているとか、秋山殿のTシャツの7TPとはポーランドの軽戦車でイギリス製ヴィッカース6トン戦車を購入・ライセンス生産したものだとか……「どうでもいいよ!」というところをめちゃくちゃ詰め込んでいます。
ダージリンさん名言解説もあります。これは大事ですね。

一番の読みどころは、「学園艦の役割と存在理由」と「戦車道の歴史と発展」という、それぞれ6ページずつにもわたる論文のような解説記事。
「女性レーサー用にと使われたのが第一次大戦で用いられたタンケッテなどと呼ばれた豆戦車だった。1920年代から登場した1から人乗りの豆戦車は、そのコンパクトさと扱いやすさから女性に人気となって、多くのタンケッテ競技が行われるようになった。」
はい、嘘歴史です。

BDの初回特典についてくる「鑑賞の手引き」にも載っていた、どこまで本当なのかわからないような出来の嘘歴史を、さらに補強したものが掲載されています。
こういう小ネタ・裏話で、ガルパンを骨の髄までしゃぶり尽くそう、というのが「アルティメット・ガイド」のウリです。
ミリタリー好き声優の中村桜・上坂すみれの対談は、予想通りというか、すでに声優のそれではないです。

上坂:クビンカ戦車博物館とかモニノ空軍博物館を回って、解説DVDのコメントをつけたり。あとは、再現写真ですね。ソ連で初めて元帥の称号を戴いた軍人の写真があるのですが、トゥハチェフスキーやブジョーンヌイの隣に、しれっと混ざりたいです(笑)
中村:私は、2001年に公開された映画「スターリングラード」のスナイパーみたいに、時計塔から戦車を狙っているシーンを撮影してみたいです。

こういう本です。
中村桜は付属BDで、戦車の3D製作の様子を、グラフィニカに取材に行っています。

●大洗のおじさん・おばさん大集合
一方、『大洗ガルパン・トラベル・ガイド 〜ガルパン聖地巡礼の手引き〜』は、表紙の通り「るるぶ」とか「じゃらん」みたいな、大洗の観光ガイド的な一冊です。
今の大洗は、ガルパンのテーマパークのようになっています。
資料が展示されている駅から始まり、舞台になった町にはキャラと戦車の立て看板、神社には山のようなイラスト絵馬。
ラッピングバスや電車が走り、あんこう祭りや盆踊り、海開きカーニバルは大盛り上がり。
自衛隊の10式戦車も展示されました。

それらがどのくらい盛り上がっているのかがわかる一冊。
これから行きたいという方には、「街なかかくれんぼ」の配置図も載っているので、出かける前に入手しておくとよい本です。

で、ここまでは想定内でした。
想定外だったのはキャラ立て看板を立てているお店の人が、ほとんど写っていること。
これよくOKしたなー! だって、大洗の街の、普通のおじちゃん・おばちゃんですよ。

大洗の「街なかかくれんぼ」とは、大洗の商工会で許可を取って、お店の軒先にガルパンキャラ・戦車の立て看板を立てている企画。
ファンはそれを探して、街なかを歩きまわり、写真を撮ることが出来ます。
「聖地巡礼の道案内」と「写真を撮っていい場所のマナーづくり」をいっぺんにやってしまった企画。最初は期間限定でしたが、好評につき絶賛延長中です。
これらを置いているお店の住所・電話番号、そしてお店の人の写真が載っているってのはちょっとすごい。宣伝になるから、だけでは済まない。
少なくともアニメ系の本で、地元の人の写真ってほとんど載りません。

大里:放映が始まった当初は、年配の方から「人が来るようにはなったけど、なんで戦車なのよ」という声は多少挙がりました。ただそれ以上に、人が来てファンとの交流が深まると、もう全然聞こえなくなりましたね。
常磐:「大洗町のこのおばちゃんに会いに来たヨ」と言ってくれれば最高ですね。もちろん、ガルパン以外にも大洗で楽しめるコンテンツは色々考えてますよ。

大洗も、アニメでの活性化だけでなく、地域を愛してもらえるよう尽力し続けている。
街の人はものすごく話しかけてくれるので、行った人なら写真をみて「あー、あそこのあのおばちゃんだ」となるはず。

ガルパン関係の本は色々読み漁りましたが、まだまだこういう切り口もあるのか、と楽しませてもらいました。
ただトラベルガイドは、ウォレット付きで2415円とちょっとお高い。
これ色んな人に見てもらいたい本なので、限定版と、本のみ販売を分ければ、さらによかったんじゃないかな。

この後、『ガルパンの奇跡 〜"美少女と戦車アニメ"大ヒットの裏側〜』という、これまたどういう切り口になるの?という本が2014年3月10日に発売されます。
ここまで来たら、「そうくるのかー!」っていうの、期待してますよ。

『ガルパン・アルティメット・ガイド ガールズ&パンツァーを100倍楽しむ本』
『大洗ガルパン・トラベル・ガイド 〜ガルパン聖地巡礼の手引き〜』

(たまごまご)