最終回か!! もう一つの神衣が登場し、学園なんて吹っ飛ばす勢いの『キルラキル』第三話、とにかく動きを楽しんで欲しい。その後じっくり見直すと、大量の情報が詰まっているので要チェック。それにしてもロリ皐月様最高にかわいかったですね。

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中島 ぜひ、3話のBパートをご覧ください!それはもう、アニメでしかできないことをやっています。いろんな力が総結集していますから。この後、3話のBパートみたいなことが続々おこっていくはずですので。アニメーターが倒れなければ(笑)。
あの1話でむしろ薄いんです「キルラキル」シリーズ構成・脚本の中島かずきに聞く1(エキサイトレビュー)

よくアニメは「三話がつかみ」と言われます。三話目が一つの山場だと。
まどかでマミさんマミられたの三話とか、エヴァでシンジが自分の意志でシャムシエル倒したとか。
第一のクライマックスなわけですよ。
しかしここまでハードルをあげて大丈夫なんでしょうか、脚本の中島さん。

そんな心配余裕で超えてきました。「キルラキル」第三話。
今までは、全てこの三話のための土台だったんだね!
とりあえず、最初は何も考えないで三話を見るのがオススメ。「いい最終回だっただねー」と言いたくなるド派手さです。
今回は一気に吐き出された皐月様と流子の関係と、「神衣」について見ていきます。

●着る!
皐月様が神衣・純潔を強引に着こなした後の戦闘演出、見事なものでした。アニメっていい!
個人的に好きなのは、柄のところで流子の胸・鮮血の目玉をツンとつついたら、学校ぶっ壊して流子が吹っ飛ぶシーン。他の、剣軽くふるだけでみんな吹っ飛ぶのもいい。明らかに物理法則無視しています。
アニメ的といえばそうなんですが、なぜこうなるのか。ちょっと考えてみます。

神衣は、強化服です。一話でボクシング部のトゲトゲで殴られても怪我をしなかった。
極制服に関しても流子が「鉄か?!」と言っていたくらいなので、実際の硬度もあります。
それだけではなく、身体強化+周りにオーラ(気迫?)のようなものをまとっている、という可能性が高い。
二話のトゲテニスでも、骸骨がぶらさがっている(=死ぬ)のに、流子と函館だけ壁にクラッシュしても死なない。身体自体が硬化されているか、バリア的なもので覆われていると思われます。
流子の片太刀バサミが対極制服用の武器として開発されていた、ということからも、単に人間を強化するだけでも、衣装が硬くなるだけでもないのは間違いなさそうです。

ところが、それでも流子、皐月様の一振りで怪我をし、激しく流血します。
物理的に切られていないんです。気迫に押されて流血している。

ということは、神衣の持つ戦闘能力というのは、押し合いになったとき、気迫で押し勝った方が相手を傷つけることができる、ということです。
武器なしで殴りあった時壁だけ凹むのは、それだけ「気」のようなものが吐き出されている。二人が斬り合った時に爆心地のようになって、一瞬吸い込まれる演出のあたり、単なる「強化」では済まなさそうです。
背中のブースター含め、神衣は謎だらけです。

●「着る」とは、自らをさらけ出すこと
1・2話でも流子も相当見事な動きを繰り出していますが、全く皐月様には歯が立たない。
それは「服」で強化され、「流子の身体能力」で戦ってはいるものの、一体ではないから。
「だったら貴様は、神衣の中にその無自覚な肉体を突っ込んでいるに過ぎない!」「私は貴様とは違う、すでに着こなしているのだよ!」(三話より)
皐月様のこの表現は面白い。
服を「着る」というのは、身にまとうということ。身にまとっても「着ている」ことにはなりません。

「制服」について考えてみます。
制服はその職業・学校・集団に属しているということを表現します。警察官が制服を着る時、それは「警官」という能力を手に入れるために訓練と学習を重ねてきた、という証です。
しかし、例えばぼくが警察の制服を身にまとっても、ぼくは警官の能力を持ちませんし、学習もしていません。いわば服に「着られている」状態です。

神衣も極制服も同じ。「無自覚な肉体を突っ込む」だけなら誰でもできる。
それはまがい物。真の意味でそれを「着る」には、自らがその服を自分のものとして受け入れ、覚悟をする必要があります。
流子に欠けていたのはそこでした。

「やっとわかったよ、裸になればいいんだ。神衣を着るってことは、お前と一体になるってこと。お前が私の素肌になるってこと。それがお前を着こなすってこと!」(三話より)
「脱ぐ」という意味じゃなくて比喩表現です。衣装が身体の一部だと感じられるようになれば、自分が「その服を着ているありのままの姿」を表すようになります。
さっきの警官理論でいえば、警官が自分の職務を理解し、制服が馴染むようになっているとき、やっとその人が真の意味で制服警官になる、ということです。

血液が、秩序正しく編みこまれている繊維すべてに、毛細管現象的に吸い込まれていく変身バンクがとても気持ちいいので必見。衣装が肉体になる瞬間です。
心とリンクしていくという意味では、「グレンラガン」のガンメンと似ているかもしれません。相棒的な距離で、シンクロではないので「エヴァ」とは微妙に違うのもミソ。

●ところでなんで神衣って半裸なの?
これで、タイトル『キルラキル』の意味も見えてきました。
一つは「Kill」。
次に「切る」。
そして「着る」「裸」。

さて、流子の鮮血、皐月様の純潔共にすごい露出度です。鼻血ブーです。
ではなぜ、こんな露出度が高いんだろう?
先生は博士の「趣味」と言っていましたが、実質違うようです。
「露出狂?くだらん!この姿は神衣がもっとも力を振るえる姿。それを俗な価値基準で恥じるなど、まさに己の小ささの証明! この鬼龍院皐月、我が野望成就のためならば、天下に乳房を晒そうと、恥もなければ怯みもない!」(三話より)

もっとも、この姿が本当に「力を振るえる姿」なのかと言われると、現時点では疑問も残ります。
仮にオーラ的なもので身を守っているにしても、もっと隠してもいいはず。また、男ならどうするの?とも。(現時点で男型の神衣はありません)

今わかるのはここ。
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」(三話より)
ツバメやすずめのような小さな鳥には、大きな鳥の志はわからない。考え方や野望の根本的価値基準が違う。又郎の「まともな神経ならあんな格好はできない」(二話)というのをふと思い出します。
流子が神衣を着ていることを「恥じている」のは、小さな存在だから。この露出度の高い服を着てもなんとも思わない、むしろ「自分が選んでこれを着ているのだ」という覚悟こそが最大の強さだということです。
その試金石として露出度の高さがある、そして「裸になることが着ることだ」という表現である……というのまではわかりますが、実質他の神衣があったらどうなるのか等わかりませんし、そもそも鮮血の能力も未だ不明。グレンラガン的な螺旋力もありましたし。

もう一つ、鮮血はしゃべりますが、純潔はしゃべりません。
ただ、鮮血がしゃべっているのを感じているのは流子だけ。このアニメが流子目線だとしたら、マコを始めとした他のキャラは鮮血のしゃべりを見ていない可能性もあります。
であれば、皐月様は純潔と会話している可能性も。これもまだわからない。

一つ気になるのは、ただの人間の満艦飾家の父ちゃんが、流子の怪我の治療をした際、制服である鮮血にも包帯を巻いていること。マコも鮮血をさわって「さぶいぼ」と言っています。
何かしら人間でも、神衣の異常さ・生々しさは感じられるようです。

……しかし、流子が覚醒したとはいえ、個人的には恥じらって戦う流子が好きだったのですよ!
今後恥じらわないとなるとちょっと残念だな!

●生命戦維10%から100%まで
「極制服」とはなんなのか、今回がっつり解説されていたので、整理していきます。
まず、学校の生徒が着ている、強化服「極制服」と、流子が着ている鮮血の「神衣」は、同じ繊維で出来ていることが判明。
元になっているのは生命戦維と呼ばれる、命を持った繊維。10%だと一つ星、20%で二つ星。三つ星まで極制服には存在します。
50%まで織り込むと、人間の制御が効かなくなるところまでは調査済み。

ところが生命戦維100%で作られたのが神衣。
確認されているのは流子が着ている「鮮血」と、皐月様が着こなした「純潔」の二着です。
流子は今まで、倒してきた生徒の生命戦維を「切り」、その戦維を神衣に吸収しました。

「生命戦維の秘密を知る者は、鬼龍院一族と君のお父さん、纏一身だけだ。鬼龍院一族はその秘密を一手に握るために、纒博士が持つ神衣を奪おうとして彼を襲ったのだろう」(三話より)
これで関係図が一気に見えてきました。
仮に先生の話が事実だとして、現時点でわかる事実をまとめておきます。

・生命戦維を開発している鬼龍院家が、それを用いて世界支配を目指している。
・足がかりになっているのが本能字学園。生命戦維を用いた極制服の開発と実験も行っている。
・鬼龍院皐月が幼少の時から、すでに「花嫁衣裳」として神衣・純潔が準備・命名されており、血を吸わせるギミックも組み込み済み。
・神衣・純潔の持ち出しは、母親から禁止されている。厳重に管理されているため、高校生時に着ることを想定されていない。父の話は出ていない。
・生命戦維の鍵になる情報を知る流子の父親は、鬼龍院家の邪魔になるということで始末されたらしい。
・美木杉愛九郎は、父親と知り合い。鬼龍院家に対してのレジスタンスとして学園に潜伏。流子が神衣・鮮血と接触するきっかけを作った。純潔の存在についても知っていた様子。
・神衣を着たのは流子が先。それを見て皐月は触れたことすらなかった純潔を、妬みの感情も含めて着る。
・神衣は着るものの血を吸うことで、その所有者のものになる。同じ生命戦維でも、極制服は血はいらないし、所有者は一人に限らない、量産型。
・流子は父親殺害の犯人を皐月だと言っていたが、必ずしも皐月が犯人だと考えてはいない。
・父親殺害の際使われていたのが片太刀バサミで、もう片方を犯人が持っている。変形するなど不明な部分多数。なぜ「対極制服用」として作られたのかも不明。

皐月様と対等に斬り合った流子が、その下の二つ星・三つ星とまともな勝負になるのか?という気もしますが、戦いとは能力だけではありません。なにかあるんでしょう。
加えて、皐月様が「部員と戦わせる」というのはどうもわざとの様子。生命戦維を流子に吸収させることで何か起こそうとしているようにも見えます。鮮血はまだ完全体ではない可能性もある。

あとは美木杉の胡散臭さ。どこまで本当なんだろう? 
なぜ脱ぐのかは、今後明かされるとニコ生の番組で明言されています。「このアニメは伏線しかない」とのことなので要チェック。
加えて、皐月様を見るに見かねて、美木杉が何かしようとした一瞬の行動に注目してください。彼、相当強い可能性があります。
よく脱ぎますし、もしかしたら、唯一の男性神衣保持者か?

●今週の昭和のコーナー。
今回はストーリーとアクションメインだったので少なめですが、昭和探ししてみます。

・マコのポーズ
常識にとらわれて踏み出せない流子、それを(間違ってるけど)押し出すマコ。いいコンビです。
今回は「いいおっぱい」の話をしていました。ぼくも流子のおっぱいすきです。
その時とったポーズが、「伝説巨神イデオン」のイデのゲージマーク。
な、なんで? 流子のおっぱいはイデ?

・次回タイトル
今回の「純潔」は昭和歌謡かどうか曖昧でしたが、次回は「とても不幸な朝が来た」。昭和ですね。
黛ジュンの歌で、1971年発売。またどえらいところから持ってきましたね。
1・2話と同じで、やっぱり作詞・阿久悠。なんで阿久悠にこだわるのか気になります。

・おまけ、気になるところ
どうでもいいところなんですが、エンディングの鮮血を着た流子のポスター。
なぜか反転しているんですよねここだけ。なんでわざわざ反転させたんだろう?
一瞬、閉じているはずの左目が開いているようにも見えるので、気になります。

「全ての部活」と言われているシルエット。弓道部とか野球部とかわかりやすいのもあるんですが、南京玉すだれが……なにこれ、南京玉すだれ部?
どう戦うのかわからん部活ばっかりなので今後楽しみで仕方ないな!

(たまごまご)