あなたは、つける派? つけない派?

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「来週の社内旅行について」
「先月納品分の請求書に関して」

という件名のメールが届くと、個人的に、妙に気になる。

何が気になるかというと、語尾にある「〜について」「〜に関して」である。

そもそも、メールの件名は、何かについて書いたもののタイトルなわけだから、「来週の社内旅行」という件名で、事足りるはずである。そこになぜ、わざわざ、「〜について」をつけてしまうのだろうか?

このような疑問を、ビジネスマナー研修などを手がける(株)インソースに問い合わせたところ、「個人的な印象もあると思いますが、例えば『来週の社内旅行』と『来週の社内旅行について』を比べてみると、前者のほうが、『上から目線』な印象を持ちます。このような印象を持たれるのを避けるために、『〜について』をつける人が多いのではないでしょうか」とのこと。確かに、言われてみればそんな気もする。

また、広告関係の雑誌編集者にも、同じ疑問をぶつけてみたところ、こんな回答を得た。

「日本語の場合、名詞で言い切る表現は体言止めといわれ、断定的な表現になります。何かを強調したいときによく使われる表現であり、広告では読み手にインパクトを与えるために、体言止めがよく使われます。『〜について』がないメールの件名が、上から目線的な印象を持つとしたら、体言止めによる効果によるのかもしれません。」

ちなみに、英語の場合、「This is a pen」のように、名詞で終わることが一般的な文章構造を持っている。以前アメリカに住んでいた知人によると、「英語のメールの場合、『Tomorrow meeting』みたいに、体言止めで終わっているメールが普通で、『About tomorrow meeting』というのはあんまり見ない。なんとなく、まどろっこしく感じる」とのこと。

これらの調査結果をまとめると、日本語と同じような文章構造を持つ言語、例えば、韓国語、モンゴル語を使う人々は、メールの文章に「〜について」をつける傾向があるのではないか、という仮説が成り立つ。筆者には残念ながら、これらの言葉を話す知り合いがいないので、誰かこの仮説、証明してください。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破における葛城ミサト曰く、「日本人の身上(しんじょう)は、察しと思いやりだからよ」。「〜について」で終わるメールの件名がなんであるにせよ、そこには古き良き日本人の心が息づいているのである。
(エクソシスト太郎)