日本の伝統を重んじる崇高な逸品

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ニットはあたたかい。物理的な暖かさはもちろん、ざっくり編まれたあのフォルムにはどこか心を温めてくれるほっこり感がある。

彼女が心を込めて作った手編みセーター……、がリアルに欲しいかどうかは意見がわかれるところだろうが、たとえセーターを編んでくれるような彼女がないなくても、ニットのような温かみを感じられるプロダクトが発売された。

それが「Trace Face Donburi(トレース フェイス ドンブリ)」。清々しい白に、繊細な編み目。といっても実はこれ、身に纏うニットではなく、なんと陶器。それも、丼(どんぶり)。カツ丼などを入れる、アレだ。

同プロダクトは、愛知県瀬戸市の成型職人とデザイン集団セメントプロデュースデザインが共同開発したもの。職人の細かな手彫りの技術によって、異素材の質感をセラミックボディに復元したテクニックは、まさに日本の匠の極みといってよいだろう。

原型を彫るにも高い技術が仕事だが、それだけじゃない。焼く前に型から取り出す際には、柄欠けしないように他の製品以上の慎重さが必要とされるし、割型なので型を抜いた後の繋ぎ目を調整するのも大変なのだ。

ちなみにプロダクトに携わった職人さんが主に手がけているのは、干支の動物の彫刻など。なぜ、今回はニット模様に?
「細かい模様を作り上げるのが今回の職人さんの強みだと感じ、それを実現するような模様はなにかと考えました。硬い陶器に柔らかいニットの細かい模様を作れたら、そんな職人さんの技術が表現できると感じたからです」
とはプロダクトの広報担当者の弁。

どんな料理に使うのがオススメ?
「どんぶりなので、日本のカツ丼なども嬉しいですが、野菜などを盛りつけてパーティーの器にしていただいてもよいかと。洋風のメニューもキレイな感じに盛りつけできると思います」
何丼にするか、はたまたどんな料理を入れるか、考えるだけでも楽しそうだ。

丼というジャンルでは類を見ない、精巧かつ重厚なその面持ちには崇高さすら感じられるほど。見れば必ず驚きを誘うモノだけに、こだわりのある人やデザイン好きへのギフトにぴったり。商品は12月からセメントプロデュースデザインのオンラインストアで販売されているほか、全国のインテリアショップでの取り扱いもある。価格は1セット6,300円。

ただし、見た目は柔らかくても、あくまで割れ物。くれぐれも取り扱いにはご注意を。
(古屋江美子)