猟師になって野山を駆けまわりたい!

写真拡大

誰でも猟師になれるという話を聞いた。猟師といっても、山で狩りをするほうのハンターのこと。農業や漁業はなり方がなんとなくわかるけど、猟師って実際にどうやってなるの? 素朴な疑問を持ったのでサラリーマンやサービス業の経営から猟師に転職し、東京目白に自分の獲った素材を提供する料理店を開店した安西さんにお話を伺った。

――さっそくですが猟師ってどうやってなるんですか?
「それは免許さえ取れば誰でも猟師になれます。まず20歳以上なら猟銃を持てる猟銃等所持許可と狩猟免許を取れば誰でも、男性女性も関係なくどこでもできます」

――免許を取ったらすぐに猟ができるんですか?
「山に入るのはできますが、一人で歩いていてもなかなか獲物は見つけられないでしょう。場所によっては背丈超えるような草がぼうぼうに生えているので装備も必要ですし、すぐには難しいです。私は、昔から父が狩猟をやっていた関係で様子を知っていたので一般の方とは条件が違うかも。
しかし、初心者でもその地区の猟友会に入ってついていけばだんだんと慣れるはずです。今はどの地域でも人が少なくなったので若手は歓迎されますよ。これは私のケースでの話で、獲物(猪や鹿、熊、鴨等)や猟法によっても状況は大きく異なります。私は猪がメインで、罠と巻狩りでの捕獲なので」

――猟師ってどうやって生活しているんだろうって気がするんですが、安西さんはすぐに猟師で生活ができるようになったんでしょうか?
「いえいえ、猟師と飲食店だけではなかなか生活はできませんね。基本的な狩猟期間は11月15日から2月15日まで(北海道以外)ですが、肉にも旬があります。猪の場合は12月〜1月が美味しいです。その時期に獲れた良い肉を業務用冷凍庫で保存して通年美味しい状態で出していますが、お店に出すメイン料理が牡丹鍋なので猟期と営業の繁盛期が重なります。店の知名度もまだまだ低いので採算が取れるようになるまでにはまだまだかかりそうです」

――ということは、猟師に転職する人はいないってことでしょうか?
「獲るだけではお金になりません。獲ったら獲物を担いで運んだり、解体をしなくてはなりません。大きな猪だと100〜150kgはありますから一人では無理ですね。父や猟仲間に手伝ってもらいながらやっています。解体と内臓の処理は直ぐにしないと肉の品質にかかわります。そのため作業が深夜に及ぶこともあります。解体して肉にしてそれを調理できる段階にしてからようやく準備完了となります。そこからお店にお客さんが来て、ようやくお金となるんですよ。自給自足ならともかく、猟師を生活の糧とするにはかなり厳しい環境です」

――獲った獲物は全部食べるんですか?
「獲った以上は肉、内臓共に美味しくいただきます。自分の意志で獲物を捕獲し獲物の命を絶つわけなので、狩猟をはじめてから命に対してより慎重になりました。豚肉や牛肉なども裏では屠殺や解体があって肉になっている。それらを食べて自分の血肉となる訳ですから。いただきますって手を合わせるのはそういうことにつながると思っています」

さて教えてもらった猟をするための免許について調べてみると、「狩猟免許」については、神奈川県のホームページによると第一種銃猟免許、第二種銃猟免許と分かれていて試験に合格しないと取れない仕組み。一般の人は費用が16,500円かかります。
もう一つの「猟銃等所持許可」は、「猟銃等講習会を受講」「教習資格認定の申請」「教習資格認定証の交付」「射撃教習の受講」「猟銃所持許可の申請」という長い過程を経て取得できるそうです。しかしこちらは費用が20,000円程度と書かれていますが、実際は指定の銃保管庫を購入したり、警察の許可を取るための証明書、講習会などの諸費用を含めると総額20万円以上もかかる場合もあるそうです。しかもこれらはずべて平日に行われるという……。

やっぱり一般人が猟師になるのは難しいかも!? ふつうに都会でサラリーマンをしていたほうがラクそうですね。
(カシハラ@姐御)