ぶどうの葉かすてら(800円)

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日本一のぶどう産地である山梨県には、ぶどうを使った製品がいろいろあるが、なかにはぶどうの「葉」を使ったものまである。

それが山梨県甲府市の老舗ケーキ屋、早川ベーカリーの「ぶどうの葉かすてら」。生地にぶどうの葉を入れ、風味豊かに焼き上げたものだ。

チョコレート味や抹茶味のかすてらは珍しくないが、さすがにぶどうの葉テイストは新鮮。そもそも、ぶどうの葉が食べられることもあまり知られていないだろう。同店のオーナーシェフである小川さんに話を聞くと、
「ぶどうの葉には、鎮静効果や殺菌効果、睡眠誘発効果などがあるといわれ、ヨーロッパでは薬品としても利用されています」
また、肉をぶどうの葉に包んで漬け込むと柔らかく美味しくなるため、料理に使われることもあるという。

ぶどうの葉を使っているため、かすてらの色は鮮やかな緑色。気になる味だが、
「ぶどうの葉はお茶のように香りが強いわけではないですが、わずかに渋みがあります」
とのこと。実際に食べてみると、ふわっと口の中に甘さが広がりつつも、爽やかな味わい。聞けば、ポリフェノールもたっぷり含んでいるのだとか。

1996年より発売をスタートした同商品。もともとは小川さんが県内のとあるワイナリーでぶどうの葉を使った料理を食べたことが開発のきっかけ。毎年5月に間引きの目的で収穫される新芽と若葉を使っており、ぶどうは葉を落としてから消毒をするため新芽や若葉は無農薬だ。

山梨は日本一のぶどうの産地だが、それでも商品化までの道のりはスムーズではなかったという。まず、ぶどうの葉は粉末にする段階で色が変わりやすいため、フリーズドライ方法を考えたものの、小ロットでの注文を受け付けてくれる会社を探すのに一苦労。最終的にはネットで北海道の町工場に辿り着き、現在では毎年200キロぶどうの葉を送って加工してもらっているとのこと。また、ぶどうの葉にはタンニンが多く、お菓子に入れすぎると膨らみが悪くなるため、入れる量の調整にも苦労したという。
「いろいろ試した方法が2011年に特許として認められ、現在に至ります」
過去には長崎のカステラサミットに山梨代表として参加し、ご当地カステラとしての支持も集めた。

販売は早川ベーカリーと甲州市勝沼ぶどうの丘の2カ所のみ。
「通販やネット販売のお話もいただくのですが、ぶどうの葉を集めていただく農家の方たちの苦労を考えると乱売はしたくありません」
山梨の食材を使った本当の意味での山梨らしいお土産として人気を集めている。

山梨を訪れた際には、ぜひチェックしてみては。
(古屋江美子)