客室乗務員の新制服。中央はデザイナーの丸山敬太さん

写真拡大 (全2枚)

JALグループの新しい制服が発表された。制服を刷新するのは2004年以来、実に約9年ぶりだ。

新生JALの新制服。いったいどんなものなのか? 先日、そのお披露目イベントに参加し、新デザインに込められた思いやこだわりを聞いてきた。

今回は客室乗務員をはじめ、搭載・貨物部門など航空運送事業に関わる全部門の制服が一斉に変更となる。なかでも注目は客室乗務員と地上スタッフの新制服。服飾ブランド「ケイタマルヤマ」を率いる丸山敬太さんがデザイン制作・監修したものだ。

「ファッションデザイナーとして日本を代表するエアラインの制服をデザインすることは夢のひとつでもあった」
という丸山さん。“制服”というジャンルのデザインについては、
「機能とデザインをいかに両立させるかが難しいが、デザイナーの技量を問われるという意味で楽しい」
とのこと。今回はデザインの構想段階からプロジェクトに参画。実際に着用する社員のリアルな声を取り入れながら、デザインを作り上げていったのだという。

具体的には、「運動量が多くて暑い」という声に応えて通気性をよくし、ストレッチが入った素材で動きやすさを重視。また、高いところへの荷物の上げ下ろしがしやすいパターンを採用したり、それぞれの用途をリアルに考えたポケットを作ったりと、細部にいたるまで現場の意見を活かしている。ちなみに、ジャケットの袖丈が短めなのは、長いと動きにくいうえ、手首を出したほうがきれいに見えるという理由からだそう。

そんなこだわりが詰まった新制服。女性一般客室乗務員の制服はノーブルな濃紺を基調に、随所に配されたJALレッドの赤色がアクセントになっている。ベルトのバックルやジャケットには鶴丸がワンポイントとして入り、上品でクラシックながらモダンで洗練された印象だ。

今回の新制服を作るにあたり、JALは4つのコンセプトを掲げている。1つめはJALグループの社員であることがひと目でわかる「視認性の高さの実現」。2つめは「清楚で上質なデザイン」。3つめは、伝統や日本のこころは守りながらも、「昨日よりは今日、今日よりは明日」と常に新しいことに挑戦する集団であり続ける意志を体現する「挑戦のスピリット」。そして4つめは「コスト削減」。

「どの制服も新生JALグループにふさわしい、お客様へのおもてなしの心を体現したもの。伝統・格式・統一感を持ち、それぞれの部門で働くスタッフの思いが形となって出来上がった」
と日本航空株式会社の植木義晴社長もコメント。従来は異なるデザインであったJALグループ内のデザインを統一することや、クリーニングや損耗交換などの管理方法、素材についても徹底的に見直すことで大幅なコストダウンも実現したそうだ。

「制服の美というものはある。集団で見られる美しさもあるし、機能美もある」
と丸山さん。2013年上期中には実際の着用を開始するというから、空港や空の上でその集団美を目にするのを楽しみにしたい。
(古屋江美子)