ジャガイモで動く時計。こんな時代だからこそか?

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ジャガイモといえば、なぜか理科を思い出す。包丁で切った断面にヨウ素液を垂らし、でんぷんの反応を見るという……。あれは、小学校何年生の時の実験だったっけ? いまだに印象的な授業です。

そして、こんなのもありませんでした? 野菜や果物を介し、電気を通して豆電球を光らせる実験。あれって、面白かったよねぇ。
それを、いい感じに思い出させるアイテムが発売されているのです。「日本トラストテクノロジー」が8月より発売しているのは、その名も『じゃがいもeco時計』。

これは要するにジャガイモを電池やコンセント代わりにし、そこから電気を取り出して動かす事のできるデジタル時計であります。
「昨今の原発問題に端を発する急速な省エネ指向や自然エネルギーへの需要に対応した商品を作れないか色々考えていたところ、子供の頃に行った『ジャガイモを電池にして豆電球を光らせる実験』を思い出し、『これこそ究極の自然エネルギーなのでは……?』と、ひらめきました」(同社・担当者)
しかし実験通りにただ豆電球を光らせるだけでは、いまいち実用性がない。ジャガイモから発生させられる電力はごくごく小さなものなので、この少電力で動かせる実用的なものを探さなければならなかった。結果、行き着いたのが「時計」だったのです。
「実際に時計に繋いだところバッチリ動作しましたし、見た目にも非常に面白くインパクトがある商品になったので、これはイケルと思いました」(担当者)

当然、この時計を使えるようにするためには組み立てが必要。
「組み立てる方には『なんだ面倒くさい!』と思わないでいただきたいです(笑)。子供の頃にやった工作を思い出しながら、自分の手でモノを完成させる喜びを味わい、楽しんで組み立ててください。一気に製品に愛着がわいてきますよ!」(担当者)

そうですか。じゃあ、いっちょ童心に帰ってみようかな? ……ってなわけで、例によって商品を取り寄せました! 私も、実際に『じゃがいもeco時計』を体験してみたいと思ったのですよ。
袋から部品を取り出すと、そこには「デジタル時計」、「亜鉛板(2個)」、「銅板(2個)」、「ケーブル(1本)」、「カップ(2個)」、「固定テープ」が同封されていた。組み立て方は、すこぶる簡単。電線で繋がった「亜鉛板」と「銅板」をジャガイモに挿し込み、時計と接続するだけです。
早速、説明書の指示通りに進めていくと、コード類はあっという間に完了。ハッキリ言って、「工作」と謳うほどの手間でもない。ここまで、正直10分足らずで到達してしまいました。あとは、二つのジャガイモに亜鉛板と銅板をぶっ刺すだけ。行きますよ? ブスッ! ……来ました。デジタル時計が動き出した。ということは、ジャガイモから電気が抽出されているわけだ。あらー、まさに科学の実験をしてるみたい!

ところで、どうしてジャガイモから電気が発生するんだっけ? その辺りの解説は、商品の説明書に記されております。
「これは一見、ジャガイモから電気を取り出しているように感じますが、実はそうではなく、ジャガイモに挿した亜鉛板が溶け出すことによって電流が生まれる化学反応が起きているのです」
ここからは、すこぶる真面目に説明させてください。ジャガイモに電線で繋がれた亜鉛板と銅板を挿し込むと、「亜鉛」がジャガイモに含まれている「リン酸」と反応し「亜鉛原子」から「電子」が外れ、「亜鉛イオン」と「電子」に分かれます。「亜鉛イオン」はそのままジャガイモに残りますが、「電子」は電線を通って、銅板側に移動します。
銅板側に移動した「電子」は、ジャガイモに含まれている「水素イオン」と結合し「水素ガス」となり放出されるので、「電子」が銅板側にたまってしまうことなく、どんどん「電子」が流れ続けます。
この「電子」の流れによって「電流」が生まれ、時計に電気が送られるのです。

どうですか。理解していただけましたでしょうか? えっ、私ですか? 私はイマイチ……。ただ、確実に時計は動いた! 確固たる根拠が、そこにはあるんでしょう。

ちなみにこれ、ジャガイモ以外のものでもOKだそう。レモンやトマト、リンゴや炭酸飲料など「リン酸」が含まれていれば、同じように接続して時計に電気を流すことができるみたいです。
「ジャガイモやレモン電池は、結構メジャーな実験だと思っていたので『懐かしい』という反響が圧倒的だと思ったのですが、意外とこの実験を知らない方が多く、『どうして動くの?』、『びっくりした』、『おもしろい!』という反応をされる方がかなり多かったです」(担当者)
予想に反して女性の購入者が多いのもこの商品の特徴で、もしかしたら男性より女性の方が“エコ”に興味がある傾向が浮き彫りになっている?

そんな『じゃがいもeco時計』は、同社のオンラインショップにて購入することができます。価格は980円(税込み)。

こんな時代だからこそ、「エコ」を身近に感じるきっかけとして有意義かもしれないこの“ジャガイモ時計”。実用性も、アリです。
(寺西ジャジューカ)