パリのビジネス街、ラ・デファンス地区。

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フランスは不景気真っ只中だ。今年の第3四半期の実質GDP成長率は前期と比べプラスにはなったが、回復と言えるまでには、はるか及ばない。仏メディアも失業や貧困問題を連日大きく取り上げられている。現状はどのようなものなのか。

フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、2012年において総人口約6500人のうち14.1%が貧困状態にあるそうだ。貧困とは、収入が独身者で月額964ユーロ(約10万円)、子供を1人持つひとり親で月額1253ユーロ(約14万円)、14歳以下の子供を2人持つカップルで月額2024ユーロ(約22万円)を限度とする世帯を指す。

最低所得保証制度による手当を受給している人も、2000年の時点では100万人中3375人だったが、2010年は100万人中3599人まで増えている。失業率も今年の第3四半期でフランス本土では9.9%、海外県では10.3%を記録した。今月11日、これら状況を受けて仏エロー首相も新たに2500万ユーロ(約27億円)を対策に向けると発表している。

もちろん若者の就活事情も厳しさを増している。フランス国立統計経済研究所によれば、2011年におけるフランスの15歳から29歳の失業率は17%だという。就職難が叫ばれる日本の倍近い数字だ。このようにフランス経済は厳しい状況だが、あえてフランスで就活をしたい場合、どのようなことが求められるのか。

仏人材派遣会社によれば、何よりもまず専門性が必要だという。例えば経理を学んだなら経理の仕事に就くなど、フランスでは会社ではなく業務で働く場所を選ぶ。ジェネラリストは求められていないのだ。加えて企業側は社員を育てるという考えがあまりない。そのため学生はスタージュ(仏語でインターンのこと)で学びつつ就職の機会をうかがわねばならない。

また語学能力は特殊性に入らないという。フランスでは英仏バイリンガルはもとより、それ以上の数の言語を流暢に使える人材が多くいる。よって、英仏2言語を普通に使えることは必須の上、プラスアルファが求められる。さらに外国人を雇う場合には、フランス人では代替できない理由が必要となるなど、職を得るまでの条件は厳しい。
(加藤亨延)