一生の思い出となるに違いない。

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CSのファミリー劇場で『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』が放映されているのを、ご存知だろうか? あれを観てると懐かしい企画が続々と登場し、もう嬉しくてたまらない。「大仏魂」とか「カフェ・ド・半魚人」とか「パンチパーマ連合・相沢会長」とか……。
そしてこの季節だと、何と言っても「たけしサンタ」が気分だ。視聴者からの投稿を受け“たけしサンタ”と“高田純次トナカイ”が、送り主の家にアポ無しで訪問。不意を突くサンタの登場にファンたちは大号泣……と、妙にホッコリさせる企画であった。

いや。冗談ではなく、本当に「サンタさんっていたらいいのに」と思いません? 12月24日の聖なる夜に聖なる出来事が起こったら、感激しないわけがないもの。
そこで、この試みをご紹介したいのです。清輔夏輝氏(“なつきサンタ”)は、名付けて「チャリティーサンタ」活動を2008年よりスタートさせている。

では、その内容について。まず“サンタに来て欲しい家庭”と“「サンタになってもいい」パートナー”を、それぞれ募集する。その後、“サンタに来て欲しい家庭”からチャリティーサンタ事務局へ「お子さんへ贈りたいプレゼント」と「チャリティー金」が預けられる。
そして、クリスマス本番。“「サンタになってもいい」パートナー”が、お馴染みのサンタの恰好をしてご家庭に訪問。お子さんに、プレゼントが渡されるというわけだ。

ところで、前述の「チャリティー金」はどうなっている? これは、支援を必要とする地域の子供たちに寄付として送られるという。
結果、事務局もサンタ役も報酬は手にしていない。「チャリティーサンタ」は、関わる人すべてが無償で携わっている。完全ボランティアによる、社会公益活動なのだ。

だからと言って、決して手は抜けない。サンタになるには、入念な準備を怠れない。“「サンタになってもいい」パートナー”は、クリスマス前に講習をキチッと受ける必要があるのだ。
まず「チャリティーサンタが目指すもの」の説明が行われ、その趣旨をしっかりと把握する。その後は、“サンタ役”、“子供役”、“お母さん役”に分かれてのロールプレイングを実施。サンタの何たるかを、その身体で覚えさせる。
「子供の名前をちゃんと覚え、いかにサンタに成り切れるかを練習します」(清輔さん)
テレが入ると、お子さんも興冷めしてしまうに違いない。必要な訓練である。

そして、その手間があるからこそ感動を共有することができる。
「サンタから絵本をプレゼントしたご家庭なんですが、春先くらいまで『これ、サンタさんがくれたんだよね!』と毎日喜んでくれるお子さんがいらっしゃったそうです」(清輔さん)
秋になると「今年も来るかな?」と待ち焦がれるお子さんも多く、リピーターとなる家庭も多いそう。

一方、サンタ役を務めるパートナーからは以下のような声が上がっている。
「当たり前ですが、皆さんはサンタになるのが初めての方ばかりです。しかし、一度体験すると『実はサンタになった方が幸せではないのか?』と感じるみたいです」(清輔さん)
究極的には「サンタは“来るもの”ではなく“なるもの”だった」という心境になるという。確かに、プレゼントには“もらう幸せ”だけでなく“贈る幸せ”もあるだろう。しかも、非日常の世界でとびっきり喜ぶ子供の姿を目の当たりにするわけで。なるほど、実はサンタは“なるもの”なのかもしれない。
「お母さんからは『寒い中、しかもクリスマスという大事な日に、わざわざ訪れてくれる人がいるのが嬉しい』という感想をいただいております。そして『我が子も、そんな大人に育ってくれたならば……』と、願うそうですよ」(清輔さん)

そんなこの試みの活動実績について。まず、「チャリティー金」は1家庭あたり2,000円に設定されている。そして支援先は、2008年がフィリピン、2009〜2011年にはバングラデシュのNGOと協力を。また2011年からは東北への支援が行われている。
ちなみに届け先として訪問した家庭は、2011年までで2157。プレゼントを受け取った子供の数は4429人。“チャリティーサンタ”になった人は3847人いるそうだ。

ここで一つ、告白を……。“「サンタになってもいい」パートナー”は12月上旬、“サンタに来て欲しい家庭”は12月中旬に募集が締め切られてしまうため、今年の参加は難しい状況だそうなのだ。
でも、来年も再来年もクリスマスはやって来る。来年だってサンタはいるはずだし、来年だってサンタになるチャンスは訪れる。

興味のある方! チャリティーでサンタになってみませんか? 「サンタは、“来るもの”ではなく“なるもの”」だそうですよ。
(寺西ジャジューカ)