宗春を慕う者は今も多い。

このポストを作成したNPO法人「宗春ロマン隊」もその一つだろう。

「徳川宗春公を愛し、元気な名古屋を創る」をモットーとする「宗春ロマン隊」。

もともとは、戦争中に破損した宗春の墓碑の修復運動をしていたというから驚きだ。

いかに宗春が愛されているかがよく分かる。

その墓碑修復運動も2010年に完結し、次なる目標として、「宗春を世に知らしめること」を掲げたらしい。

ここが名古屋の歴史好きの面白いところ。

マニアが集まって過去の歴史上の出来事や人物の様々について語り合い、盛り上がることに終始しない。

その良さを、今の社会や地域のコミュニティー作りに積極的に取り込んでいくのだ。

「不景気ゆえの日本全体を脅かしている閉塞(へいそく)感を打破したい」。

ド派手金ピカ宗春ポストには、そんな気持ちが込められているのかもしれない。

今の時代に「宗春」をもってきたというのは、実に名古屋らしいアジテーションで面白い。

が、まだまだ寂しいのは、このポスト、栄に“一体だけ”ということだ。

一体だけじゃいくらなんでも目立たないのでは? 名古屋中のポストをすべて宗春ポストに変えるくらいのことをやってのけないと! そうすれば、観光客のみなさんは、宗春ポストの悪趣味なデザインに驚き、同時に「名古屋らしいなあ」とニンマリしてその哲学を理解されると思うのだが。

 ●information ポスト宗春(設置場所)名古屋市中区錦三丁目22-10