女優・小川真由美から受けた壮絶な精神的虐待を告白した、娘の小川雅代

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 母は日本アカデミー賞にも輝いた大女優・小川真由美。父はダンディな名優・細川俊之。恵まれた家柄、しかしその実態は、宗教や霊能者にも入れ込む母から「精神的虐待」を受け続け、鬱病、パニック障害、自殺未遂に追い込まれ……。40年に及ぶ母と娘の闇を、娘である小川雅代が告白した衝撃的ノンフィクション。それが『ポイズン・ママ 母・小川真由美との40年戦争』だ。

―赤裸々に記された「精神的虐待」の数々にとても驚きました。告白には相当な覚悟があったのでは?

 10年前から何度も書こうとしてきたのですが、そのたびにつらかった記憶がフラッシュバックして耐え切れず、書けませんでした。でもこの10年間にも、母は私も巻き込んだ形で霊能者の“教祖”とのビジネスに2億円以上をつぎ込み、裁判沙汰になったり、現在も懲りずにまたまた別の霊能者に入れ込んだりしている。だから今書かないと、もう母との正常な関係は一生築けないと思って……。

 でも公表することにはすごくすごく悩みましたね。この本によって母の女優生命が失われる可能性は大いにあるわけですから。けれど、このままだと思いつめた私自身がいつか現実に母を殺してしまうかも……そんな恐ろしい妄想までしてしまい、もう今告白するしかないと決心したんです。

―母・真由美さんからの「精神的支配・虐待」は雅代さんをどう変えていったのでしょうか。

 母も父も有名俳優なので、周囲からは“親の七光り”ならぬ「十四光りでいいよね!」と言われ、学校ではいじめに遭い続けました。さらに母からは「うちは芸能人だから誰も信用しちゃダメ! 週刊誌も狙ってるし、近づく人間は全員が私たちを陥れようとする裏切り者だから!!」と常に言われ、自分のつらさを誰かに打ち明けることもできなくて。母や父を利用しようとするハイエナみたいな人たちが私に言い寄ってきていたのも事実でしたし。正直、私は何十年間も母に洗脳された状態でした。

―大女優・小川真由美さんの演技力にかかると、どんな人でも洗脳されてしまいそうな……。

 けど、孤独な芸能人でもある母は、逆に洗脳されやすくもあって、何人もの「教祖」や「霊能者」が家庭に入り込んできました。母の不在中に妙な宗教家のおじさんが「見張り」と称して家に住み着いたときなど、思春期だった私は「レイプされるんじゃないか」と不安で、いつも胸にサラシを巻き、股間にテイッシュを詰めていたほどです。

―本を出された今現在はどのような心境ですか?

 それが、自分でも意外なほどすっきりしているんです。これまでずっと「母だってつらかったんだ。だから私が母を許さなきゃダメなんだ。母を許すことで、私自身も立ち直れるんだ」と思い込んでいたんですね。でも、この本で私は母を許していません。「それでも母が好きです」とか「やっぱり母を愛してます」的なことも一切書いていません。

 そう書いたほうが読者受けもよく、批判もされにくいだろうとは思いましたが、やっぱりどうしても、そんなきれいごとは書けなかった。だって今も私と母の「戦争」は終わっていないから……。でも、ありのままを書いた結果、「私も母娘関係で悩み続けています」「親が“悪い宗教”にハマって苦しんでいます」「母との関係を見つめ直すことができました」という女性の読者の方から多くの反響をいただけたんです。本当にうれしかったですね。

 一方で、「そんなの娘の甘えだろ」「母親は敬わなきゃ」「もっと大人になれ」、そんな批判もあると思います。けれど、母との関係の歪ゆ がみからうまく恋愛もできなくなり、彼氏や夫からも暴力やハラスメントを受けるようになるケースもあるんです。私自身もそうでした。だから、ぜひ男性の方にも読んでほしい。母娘関係・父娘関係に悩み、誰にもそれを言えずに苦しんでいる女性は本当に多いですから。