ダルビッシュ有、メジャーデビュー！5失点大乱調も味方が強くて初勝利の巻。
違う環境で結果を出すとはかくも難しいものか。日本時間の10日、海を渡ったダルビッシュ有がメジャーのマウンドに立ちました。緊張の初登板。とは言え、日本プロ野球が生んだ最高傑作に動揺は無縁のものだと思っていました。普通に投げれば問題ない。メジャーをキリキリ舞いさせてくれ。ただでさえ最近評判が悪いんだ。ていうかコッチも気分が悪い。向こうに行くなら活躍しろ、活躍しないなら行くな。ダルはさすがに大丈夫だよな…？
たとえば、岡島だの建山だの入来だのがパカパカやられるのは構わないのです。お互い納得ずくですから。しかし、ダルビッシュさんがパカパカやられるのはいけません。入札金だけで5170万ドルを投じたテキサス・レンジャーズ様の気持ちを思えば、環境が違おうがボールが違おうがマウンドが低かろうがメシがまずかろうが女ができようが知ったこっちゃないのです。ワゴンセールなら何があっても許せますが、新品高額商品がポンコツだったら絶対に許せません。「勝って当たり前」なのです…！
日本プロ野球ファンだって、つい昨日ソフトバンクのペニーにブチギレたばかり。メジャー通算119勝、最多勝獲得の実績もある大物。和田・杉内・ホールトンの穴をひとりで埋めんばかりの存在感。年齢こそ多少高めですが、大物外国人選手の来日には味方も敵もワクワクしていたもの。しかし、フタを開けて見れば楽天相手のお試しデビュー戦で4回途中64球を投げただけで肩が痛いと言い出し、そのまま帰国するという体たらく。肩に異常はないという診断結果が出たのに自らの判断で本国に帰る姿勢には、日本のファンも「しまった、次回登板で野次ろうと思ってたのに」「まだぶつける用の生卵買ってないよ」「はぐれメタルか」と怒りのぶつけ所すら見失ったほど。
テキサス・レンジャーズ様の気持ちを想うと、同じ日本人として申し訳なくなります。ペニーよりも、阪神のグリーンウェルよりも、ダイエーのミッチェルよりも遥かにお高いダルビッシュさんです。こんな内容ならあと5年くらい日本でじっくり育ててから輸出するべきだったと後悔すらしてしまいそう。僕の中のサエコさんも「こらダル、アナタも頭下げなさい！」「あんだけお金もらって」「お金返しなさい！お金！」と土下座を繰り返しています。
ダルビッシュさんに改めて思い出してほしいのは、もはやダルビッシュさんは自分の夢だけで野球ができる立場ではないということ。ポスティングで日米両国に負担を掛け、米国の金・日本のプライドを背負って野球をしているのです。30過ぎてからFAで移籍するのとはワケが違います。今までは乱調でも日ハムのファンが困るだけでしたが、これからはレンジャーズと日本プロ野球全体が困るということを自覚してもらわなくては。答える方法は、結果のみです。
ということで、日本では全球団手も足も出なかったピッチャーの大乱調に、朝からモヤモヤさせられた「テキサス・レンジャーズVSシアトル・マリナーズ戦」をチェックしていきましょう。
◆川崎が活躍しても別に嬉しくない！川崎は日本背負ってないから！
青と赤に染められたテキサス・レンジャーズの本拠地レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントン。目がチカチカするような舞台は、あの男の登場を待っていました。ダルビッシュ有。日本から来たナンバーワン投手。5170万ドルの男。最強レンジャーズを無敵のレンジャーズに押し上げる男。悲願のワールドシリーズ制覇のための高額お買いものが、ついに米国デビューを迎えたのです。
↓メジャー初登板のダルビッシュさんは最初の打者にストレートの四球を与える！
客：「Oh〜！」
客：「Woooo〜！」
客：「Ahhhhhhhh〜！」
 | 価格:4,800円 |
不穏な立ち上がりにも、まだ日本のファンは動じません。何故なら彼がダルビッシュ有だから。しかし、雲行きはモクモクと怪しくなります。2番アクリーは空振り三振で仕留めるものの、3番イチローにサード後方へのポテンヒット→4番スモークに四球→5番シーダーにセンター前2点タイムリー→6番オリーボにタイムリー→8番カワサキに押し出しの四球で初回4失点。42球を投じ、ようやく3アウトを奪ったあとには、本拠地のファンからブーイングも飛び出します。
さらに2回。先頭を仕留めたあと迎えたイチローの2打席目はライトの頭上を越す二塁打。二死としたあと再びシーダーにタイムリーを許し、何と序盤で5失点。日本では考えられないような乱調に、僕の中のサエコさんからも「こらダル、アナタも頭下げなさい！」「ワンアウトいくらか考えなさい！」「お付きのスタッフもタダじゃないのよ！」とヤキモキします。
↓メジャーの大打者イチローが新人に洗礼の一打を浴びせる！
松坂：「な、難しいだろ？」
井川：「まだ3Aで練習する段階」
高津：「珍品しか通じないんだよ」
佐々木：「フォーク投げるべき」
岡島：「力で押してもダメだよ」
吉井：「アドバイスしよか？」
小林：「僕の経験を伝えたい」
福盛：「帰ってこい」
大家：「横浜で勝つ方が難しい」
川上：「現地で結婚だけはしておけ」
田澤：「すげー」
五十嵐：「所属チームがあるだけマシ」
森：「投げられるだけマシ」
何か、ヨソの国でコレをやってることに一抹の寂しさもあるな…。
テレビで見ればいいんだけどさ…。
しかし、恐るべきはレンジャーズ。最近は5点も離されたら絶対追いつけない貧打野球ばかり見ていたので、すっかり忘れていましたが、野球は打って勝つというパターンもあるスポーツでした。レンジャーズ打線の驚異的な破壊力。初回に2点を返すと、3回にはスリーランで一気に同点に追いつき、さらに4回にも2本のホームランで3点を追加し8-5と逆転してしまう爆発力はすさまじいばかり。
↓現地のファット・クソ・ガキもホームランキャッチで大興奮！
日本だったらつまみ出されるなｗｗｗｗｗ
ていうか、アメリカでもコレはつまみ出せよｗｗｗｗｗ
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この日は初回からストレートが高めに浮きまくり、低めに投げればワンバウンドと、まったく制球が定まらなかったダルビッシュさん。特に左打者には膝元へ投じるも明らかなボール球となるスライダー、外へ逃げ切っていくツーシームと、ボールが先行してリズムを悪くする展開。四死球も多く、不利なカウントから甘く入れば痛打を浴びると、その辺のピッチャーのような投球ぶり。キャッチャーが触れもしない大暴投もありました。ボール自体はキレ・スピードともありましたので、マウンドやボールへの慣れがもう少し必要でしょうか。まぁ5170万ドルには、そんな言い訳は許されないわけですが。
それでも4回、5回は三者凡退で仕留め、ようやくファンからもブーイングならぬ「ユーイング」の声援。5回も無失点で切り抜けここまで98球。勝ち投手の権利も手にしたことで降板かとも思われましたが、6回もマウンドに上がったダルビッシュさん。二死から四球を出すとこの日4度目のイチローとの対戦を迎えます。電光掲示板に広告を出したマツダ自動車も、バックネット下に広告を出したヴァンガードさん・ほけんの窓口さんも大歓喜したに違いありません。
そしてダルビッシュさんは、イチローにこの日3本目のヒットを許し、ここで降板。5回3分の2、110球、被安打8、四死球4、5失点で初登板を終えました。地元のファンも、何とか負けがつかない形でマウンドを降りたダルビッシュさんをスタンディングオベーションで見送ります。しかし、これはあくまでも新人への引っ越し祝い。ヤンキース時代の伊良部さんも、最初はスタンディングオベーションで出迎えられたのです。これは「最初だけ」です。
その後、味方打線はさらに得点を重ね、結果的にダルビッシュさんはメジャー初勝利を手にしました。しかし、それは完全に打線のチカラ。アホみたいに打ちまくったレンジャーズ打線と、毎年秋口にはイチローを不機嫌にさせるマリナーズの弱さが、ダルビッシュさんを勝利へと押し出したにすぎません。5170万ドルは、打線の援護で勝つ投手の値段ではありません。日本のファンもそんなものを輸出した覚えはありません。
移籍会見で語った「野球をやる上でモチベーションを保つのが難しかった」「フェアな対戦をしていないんじゃないかという気持ちがあった」「すごい勝負がしたい」という言葉。その言葉に寂しさを感じつつも、仕方ないと諦めた日本プロ野球のファンの気持ち。それを満足させるだけのすごい勝負を見せてもらわなくては。とりあえず6年100勝。有無を言わさぬレベルの数字で、日本のファンが、せめて胸を張れるようにしてほしいものです。自分だけの問題ではないということを、しっかり胸に刻んでもらって…。
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どうでもいいけど、レンジャーズはダル獲らんでも優勝できると思います！
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