『マネーボール』より ©Columbia

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ブラッド・ピットが主演と製作を兼務した映画『マネーボール』は、常識を打ち破る理論で、野球を変えた、ひとりの異端児の闘いを描く感動作。だからこそ野球ファンのためだけの映画ではなく。また、野球好きにさせるための映画でもない。思考の断・捨・離のすゝめとなり、また“もしドラ”としてもふさわしい作品。だから野球に詳しくなくても大丈夫! 

実話を基に映像化した本作を観て、感じて、考えて欲しいのは、ズバリ意識改革について。名付けて「思考の断・捨・離のすゝめ」。

野球の常識を覆す主人公ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)の合理的な考え方と物事・交渉の進め方は、働く女性にも参考となる部分が多いはず。

具体的なマネーボール理論は、映画や原作本で理解してもらうとして。ざっくり言うと、1人が100を成すのではなく、3人が33ずつを確実に成すことで100に近づけ、ほぼ同等の効果を得ること。

ビリーは自身の信念に基づいて行動するも、球界のお歴々からは理解されず孤立し、自信が揺らぐ姿も。そんな彼を元気づけようと助手のピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)が、ビリーに硬球を投げつけるシーンがあるのだが、そのときのブラッドのリアクションといったら。バツグン!

改革を描く物語なので、基本的にシリアス路線なのだが、時折、効果的な笑いのスパイスが効く。ブラッドのコミカルさと、王道の笑いを提供してきた映画『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のジョナとのコンビネーションが、思いのほか良いのだ。

なおかつ、感動的な部分もある。

640moneyb-subそれは彼らの理論が正しいと証明し結果を出せたとき――というのは、もちろんだが。実はビリーの苦い過去がフラッシュバックで挿入されていること。また、現在のビリーが、父親として娘と接するシーンも印象に残る。特に、彼の娘ケイシー(ケリス・ドーシー)が、オーストラリア出身のアーティスト・レンカの楽曲「ショウ/The Show」をギターで弾き語るシーンは、大人の涙腺を刺激すること必至。

せっかくなので、本作の音楽について触れておく。メガホンを執ったベネット・ミラー監督とは、映画『カポーティ』でもタッグを組んだ、カナダ出身の音楽家マイケル・ダナによる、心地よく沁み、澄み渡るようなサウンドがキャラクターの心情に絶妙にマッチしているのだ。最近のマイケルの仕事は、映画『(500)日のサマー』や『リトル・ミス・サンシャイン』などがある。

なお、9月25日(現地時間)、米国アカデミー賞選考会員向けの本作の試写会は、珍しく満席になったという。その結果、受賞に相応しい内容だとし、題材に絡めて“ホームラン級”といった評価が、海外サイトで見受けられるほどだ。

タイプとして、昨年のオスカー作品『英国王のスピーチ』に近いと思う。そのような作品なので、デート映画にもなるし、誰と観てもいいと思う。ただし、野球にまったく興味のない子どもには、細部まで理解するのは少々難しいかも。なので、ガイダンスすることをお忘れなく。

原題=MONEYBALL
日本公開=2011年11月11日
配給=ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト=http://www.moneyball.jp/
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