ゴロとフライ

 次に,打撃成績のうち,ゴロとフライの数について紹介があります。データを表3-1に示します。

表3-1

 元の記事では,フライの数が減り,ゴロの数が増えていることが指摘されています。しかし,フライの数が減り,ゴロの数が増えていることと,安打数との間にどんな関連があるのかはよくわからないところで,これが良いことなのか悪いことなのかどうかは今のところ不明です。

 気になるのは2010年のフライの数で,私がFANGRAPHSのデータをまとめたところ,フライの数が合いません。データを表3-2に示します。

表3-2

 元の記事のデータは2011年のシーズン終了前のデータですが,2010年のデータは既に確定しているはずです。まぁ私も時々データの掲載をミスしたりすることもありますので(もちろんミスは見つけ次第すぐに修正します),これもその類ではないかと考えておくことにします。

ゴロと安打

 元の記事では,ゴロになった打球の中で,ヒットになる確率が低下しているという指摘があります。データを表4に示します。

表4

 確かにゴロになった打球のうち,ヒットになった打球が低下しつつあることがわかります。この原因として,記事では「年齢的な筋力の低下」つまり,強い打球(ゴロ)が打てなくなったことが原因であると指摘しています。このデータと解釈についてはいろいろ思うところがあります。

 まず,元データのFANGRAPHSに,“ゴロになった打球の中でヒットになった数”が掲載されていない,ということです。単に私が見つけることができないでいるのか,それとも別のデータベースよりの引用なのか定かではありません。

 また,ゴロ安打の減少がそのまま「年齢的な筋力の低下」につながるとは言えない面もあります。ゴロがヒットになるかどうかは,打球の速さだけでなく,打球が飛んだコースの影響も大きいからです。


内野安打

 先ほどのゴロと安打の関係の中で,内野安打の減少も指摘されています。データを表5-1に示します。

表5-1

 確かに,内野安打は減少してきているわけですが,妙なことにこの内野安打の数がFANGRAPHSのデータと全然合わないわけです。これはミスでは片付けられないと思い,いろいろ調べたところ,元の記事の内野安打数は「Baseball Reference」というサイトのデータと一致しました。FANGRAPHSのデータとBaseball Referenceを併記したものを表5-2に示します。

表5-2

 どちらのデータが正確なのかは良くわかりませんが,FANGRAPHSのデータを見れば,内野安打率はそんなに変化はありません。一方,Baseball Referenceのデータでは,2011年の内野安打率は確かに低下していますが,2003〜2007年と同程度でもあります。

 2003〜2007年はこの程度の内野安打率でも200本安打を達成できていたわけですから,2003〜2007年にはあったのに,2011年にはそれを失ってしまったがために200本安打を逃した要因があるのかもしれません。