離婚式

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テキスト系妄想メディア「ワラパッパ (WARAPAPPA )」より

「結婚式はあるのになぜ離婚式はないのだろう?」
こんな小学生が発想しそうな疑問を大人になっても抱き続けたのが離婚式プランナーの寺井広樹さんだ。



ちょうど先輩夫婦が離婚することを聞きつけ、嫌がる夫婦を説得して開いた離婚式が始まりだった。どう考えても悪ふざけにしか見えないこの離婚式に、夫婦と親族は困惑したが、離婚式の最後に夫婦がハンマーで結婚指輪を叩き壊したとき、予想外の「スッキリ感」が会場を満たし、寺井さんは感謝されたという。

それ以来クチコミで離婚式の依頼が相次ぎ、寺井さんは離婚式プランナーとして独立することを決心したのだそうだ。離婚式では、離婚に至った理由を寺井さんが述べるのだが、その理由が浮気のときは、「異性関係のもつれにより」と述べ、よりオブラートな表現を依頼された場合は、「人間関係のもつれにより」と言い、さらにオブラートにつつむときは「自然の摂理により」と説明するといった風に、夫婦のオーダーに合わせてプロデュースしているのも人気の秘密のようだ。

式では旧郎旧婦それぞれの友人代表のスピーチも設けられるが、以前ある式で、旧婦側の友人代表が「実は旧婦を愛していました」と離婚式に便乗して告白し、旧婦の父親がなんとも言えない表情をするといったハプニングもあったという。

従来、友人などが離婚した場合、単純明快な形で宣言する機会はこれまでに無く、周囲も気を使って気まずい雰囲気になることが多かった。しかし離婚式で高らかに離婚を宣言することで、本人だけでなく周囲もスッキリするようだ。

このような大切な人と別れる儀式は、「離婚式」だけでなく「生前葬」も話題だ。

「死んだ後だと話せないから死ぬ前に葬式をする」というある意味合理的でもある生前葬。これを、死ぬ予定の当人と関係ない人まで集めてイベントにしてしまうという画期的な生前葬が今年開かれた。



喪主は、東京の赤羽のクレイジーな日常風景を赤裸々に描いた人気漫画『東京都北区赤羽』の著者である「清野とおる」さんと、漫画家の「能町みね子」さんで、生前葬されるのは、『東京都北区赤羽』に度々登場する居酒屋「ちから(※現在は閉店)」の名物マスターで実在の人物だ。

会場には、マスターとはほとんど関係ない人が100人以上来場し、とても葬式には見えない大盛況となった。喪服を着ていくと入場チケットが半額になるので喪服の人も多く、雰囲気は葬式だが生前なのでみんな笑顔だ。

葬儀ではまず、喪主である清野とおるさんが赤羽の「ち○こおじさん」の話を披露。清野さんがこのイベント前日に赤羽を歩いていると、知らないおじさんに「お兄ちゃん、タイプだからち○こなめてよ」と声をかけられたそうで、咄嗟にその様子を撮影したのだという。実際に会場で披露された動画には、清野さんの下半身に熱い視線を浴びせる赤羽のおじさんが登場し、ち○こをなめさせてくれるお礼に、アメを清野さんに渡そうとするおじさんの姿に会場は爆笑となった。

清野さんは「赤羽にはこんなツワモノが普通にのさばっているんです。こういう人が出てくる特定の路地があるんじゃないかと思います」と解説。あらためて赤羽の奥深さんを知らしめると共に、かつてなく明るい葬式の雰囲気となった。生前葬のオープニングトークは葬式と違い明るい方がよいようだ。

そしてマスターと奥さんのえつこママ、マスターをよく知るという会社員赤澤さんが登場。生前葬の翌日がマスターの50歳の誕生日だそうで、「Happy Birthday」の音楽と共にバースデーケーキが運ばれ、喪服に囲まれて誕生日を祝われるマスターというとてもシュールな展開となった。えつこママが「50歳ってことは、還暦(60歳)もあっというまね」と言うと、すかさず赤澤さんが「いやその前に死んじゃうでしょ」と生前葬ならではのツッコミも見られた。

清野さんがマスターに「えつこママと結婚した理由は?」と聞くと、マスターは吐き捨てるように「タダま○だったから」と言い、えつこママは「こっちこそタダち○よ!」と言い返し、会場は爆笑に包まれた。生前葬だけに、建前の話ではなく赤裸々な話の方が会場の受けは良いようだ。

そして唐突にえつこママは「マスターと離婚したい」と訴えはじめた。清野さんへも以前から離婚については相談しているようでその決意は本物だという。つまりこの会は生前葬であり、誕生会であり、離婚式でもあるようだ。通常の葬式なら他の式との併用はできないが、生前葬というコミカルな立ち位置ゆえに、どんな式でも合わせて開催できて便利なようだ。

生前葬の最後は清野とおるさんからの弔辞となった。
「ある日、最も根本的なことに気付きました。この居酒屋『ちから』、どうして客がいないのにやってけるんだろう。マスターに率直に聞くと『お母さんのお小遣いに決まってるじゃん』と言われました。あなたの人生を舐めきった、ロックな生きざまを見ていると、自分の置かれている状況とか悩みとか、どうでもよくなってきて、あぁ俺生きていていいんだと、良くも悪くもポジティブに開き直ることができました。(中略)。最後になりましたが、あなたのこと、けっこう愛していますので、なるべく長生きしてください。万が一、死んでしまうときは、あなたらしく最後までおもしろくお願いします」

この弔辞により想定外の感動が会場を覆い、生前葬は内容がハチャメチャでも最後の弔辞さえしっかりしていれば立派な生前葬になることがわかった。
ちなみにマスターの寿命はあと2年だそうだが、マスターが自分で自分の手相をみた結果だそうで、マスターとしては真剣なようだ。事実でなくても本人がその気なら生前葬は開いてよいみたいだ。
■関連リンク
・離婚式オフィシャルサイト
http://www.rikonshiki.com/
・清野とおるさんTwitter
http://twitter.com/#!/seeeeeeeeeeeeno
■清野とおるさんプロフィール
異色ギャグ漫画化。1998年、ヤングマガジン増刊号赤BUTA『アニキの季節』でデビュー。大学在学中に『青春ヒヒヒ』『ハラハラドキドキ』をヤングジャンプにて連載するも、即打ち切りに。現在、奇怪な地元住民および珍スポットの異色エッセイ漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン)で局地的に大ブレイク中。
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この記事の元ブログ: 大切な人との正しい別れ方。「離婚式」と「生前葬」が大盛況。


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