中国では、子どもによる芸の披露に人気がある。驚くほど芸達者な子も多く、「わが子の芸能界入り」を目指すステージ・パパ/ママも多い。ところが、子どもが出演するテレビ番組で「最近はラブシーンや、露出度が高い“セクシー衣裳”が多い」と、批判の声が高まった。中国新聞社が報じた。

 特に問題が大きいとされるのは、子どもに出演させる「コンテスト」だ。大人が演じるような芝居や演技をさせることが増えた。

 3月に開催された全国政治協商会議では、「子どもを出演させるコンテスト番組は内容を厳格に審査して、ラブシーンなど成人の芸の模倣を禁止すべきだ」との意見が発表された。

 幼い男の子と女の子に露出度の高い衣裳を着せて「セクシーダンス」を披露させる場合もある。著名な漫才師で、全国政治協商会議の委員でもある姜昆氏は、「心が痛む。子どもの本来の姿ではないからだ。大人が、自分の好む内容を子どもにやらせている。われわれの子どもは、大人のなぐさみ物にされてしまった」と批判した。

 著名な監督で全国政治協商会議委員も務める馮小寧氏も批判的だ。子どもが出演するテレビ番組の“成人化”は日を追うごとにひどくなっていると指摘し、「テレビ局が金儲け本位になりすぎている。視聴率を稼げば、収益があがると考えている。政府の規制が必要だ」との考えを示した。

 一般の視聴者からも「やりすぎを感じる子どものコンテスト番組がある」との声が聞こえてくる。「表現があまりにも作為的で、本当の子どもらしさがまったくない。あんな年齢で観衆にこびることを覚えてしまったのでは、将来が心配だ」という。

 一方、子どもに民族楽器やダンスを習わせている親によると、「コンテスト番組に出したい」という。子どもの芸の「成人化」については「大したことはない。子どもの年齢も考えるが、今の子は早熟。少しでも目立てばよいと思う」と述べた。

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◆解説◆ 子どもに“成人仕様”の演技をさせることは論外として、中国ではもともと、子どもの芸に「大人がイメージする子ども像」を求める傾向が強かった。表情や身のこなしも極めて高度に訓練されているが、よく観察すると、子どもが自然な状態では絶対に見せない“演技”である場合が多い。米国の「名子役」にしばしばみられる方向性があるとも言える。(編集担当:如月隼人)



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