スターバックスが読み終えた本を引き取ります “Book for Two”に迫る

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 皆さんは自分の読み終えた本をどうしているだろうか。
 なんとなく部屋の中に置いたままにしてしまい、かさばってしまうなんてこともよくある話。そんなときはスターバックスに読み終わった本を持っていってみてはどうだろう。

 スターバックスでは12月25日まで、「Book for Two」というプログラムを実施している。
 この取り組みは、まず、お客やスターバックスに勤めている従業員たち(パートナー)が読み終わった本をお店に持ち寄る。そして、お店で回収された本が専門家によって評価・査定され、その額を日本点字図書館に寄付。お金は目の不自由な人たちのための「オーディオブック」制作費に使われるというもの。

 スターバックスコーヒージャパン株式会社ではこの「Book for Two」を、コミュニティへの貢献活動の1つと位置づけており、今年で3年目を迎える。
 どうしてこのような取り組みを始めたのだろうか。

 「このプログラムは北米で行われていた“Book Drive”という取り組みからヒントを得ています。公立の小学校や図書館で本が不足しているなどの事情があり、街の皆さんに呼びかけて、本の寄付していただくという活動が“Book Drive”なのですが、それを日本でもできたら素敵だなと思ったのがそもそものきっかけですね」と語るのはスターバックス コーヒー ジャパン 広報部の松本しのぶさんだ。
 しかし、ここは日本。北米とは環境や需要が異なる部分もある。そこで古本の市場に目をつけた松本さんが、古本の査定をする専門家とコンタクトを取ったところ、「Book for Two」のインフラとして協力してもらえることになったのだという。

 松本さんは「コーヒーを飲みながら本を読むという日常風景が、スターバックスにあります。だからこそ本にこだわりを持ったんです」と話す。

■「Book for Two」への参加は各店舗の自主性に任せている

 この取り組みの興味深い点の1つは、パートナーに参加を強制しないという点だ。
 事実、2008年は396店舗、2009年は502店舗、そして2010年は447店舗と、その年によって参加店舗が違う。

 参加を強制しない理由は、店舗やパートナーの自主的な活動を推奨する、スターバックスの企業風土にある。店舗は全て同じ条件の環境にあるわけではなく、地域ごとにそれぞれ異なる。そのため、その地域にしかないニーズがあるはずであり、それに対応することでコミュニティの絆を深める役目を担いたいという考えがあるという。

 しかし、いくら自主性に任せているとしても「Book for Two」には全国で447の店舗が参加している。この数は877ある店舗(2010年3月現在)の半数以上であり、このプログラムがスターバックス内で定着しつつあることを証明しているのではないだろうか。また、ただ本を引き取るだけではなく独自の飾り付けをするなど、個性を出している店舗もあるという。

 さらに、松本さんは「3年目を迎え、“Book for Two”というプログラムがお客様にも根付いてきているように思います。例えば“Book for Two”に参加していない店舗にも本を持ち込むお客様が増えていらっしゃるんです。そういうときは本を引き取るように対応しましょうとパートナーに伝えています」と言う。

(スターバックス コーヒー ジャパン 広報の松本さん)

■「オーディオブック」で目の不自由な人にも本を楽しんで欲しい

 目の不自由な人向けの書籍といえば、ほとんどの人が「点字図書」を思い浮かべるだろう。しかし、このプログラムでは「点字図書」ではなく、「オーディオブック」の制作費としてお金が寄付される。どうして「オーディオブック」なのだろうか。

 「例えば辞書などを点字で表現すると、その書籍量はあまりにも膨大なものになってしまいます。だから点字図書には場所の制約があるんですね。でも、オーディオブックですと、昔はカセットテープでしたし、今はデジタルでダウンロードできますから、場所の制約はほとんどなくなります。また、朗読をじっくり楽しむこともできるし、3倍速で聴けば速読も可能だったりと、いろんな本の読み方ができます」と松本さんは語る。

 しかし、制作コストがかかるため、オーディオブックの点数は多くない。そこでこのプログラムを通して、オーディオブック制作の支援を行っているのだという。

 このプログラムは、今年は25日まで行われている。
 「継続は力なり、ですから。来年も行う予定でいます」と松本さん。
 今年はもう時間があまりないが、是非読み終わった本を近所のスターバックス店舗に持っていってみてはいかがだろうか。それが誰かの役に立つのだから。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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