13日のリーグ・アン第13節ボルドー対ナンシー戦(2―1)で、2アシストを決めてボルドーの5試合ぶりの勝利に貢献した左サイドバック、ブノワ・トレムリナス(24)。

 レキップ紙によると、この試合にはバイエルン・ミュンヘンからトレムリナスを目当てにスカウトが視察に訪れていたという。バイエルンがトレムリナスをマークするのはこれが初めてではないだけに、ナンシー戦の活躍でさらに好感度が上がったのは間違いない。

 バイエルンにとって左SBは、ラームを右に固定して以来、ここ数年にわたり課題となっている補強ポイント。層の厚いセンターバックに比べ手薄なポジションだ。今シーズンはプラニッチが多く起用されているが、中盤での経験が長くサイドバックのスペシャリストとはまだ言いがたいところもある。

 トレムリナスといえば、かつてボルドーとバイエルンを支えたフランス代表の左SBビシェンテ・リザラズ氏(現解説者)が早くから注目してきた選手。リザラズ氏は、サイドからの鋭い切り込みと正確なセンタリングを武器とする古巣の後輩に、かつての自分の姿を重ね合わせているのだろう。もうひとつの古巣であるバイエルンにトレムリナスを強力にプッシュしてきた張本人だ。

 またトレムリナスは、フランス代表のローラン・ブラン監督が目をかける選手でもある。ブラン監督はボルドー時代に自分が抜擢したトレムリナスを代表に初選出し、国際レベルの選手に育て上げようとしている。次のイングランド戦には招集を見送ったものの、長い目で成長を見守っていく姿勢が感じられる。

 デビュー3年目の昨シーズンは、チームが終盤に失速、前年の優勝から6位という転落を味わった。ブラン監督からジャン・ティガナ監督へと指揮官が代わって臨んだ今シーズンも13日の時点で7位と冴えない。バイエルンは冬の移籍期間のうちに早くもトレムリナス獲得に動くと伝えられている。トレムリナスが、欧州カップに出場できず、優勝争いにもからめないボルドーにシーズン途中で見切りをつけ、ステップアップのために移籍を希望するとしても不思議はない。