ベタピンショットでキャデイとタッチ(撮影:岩井康博)

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<サン・クロレラ クラシック 第3ラウンド>◇31日◇小樽カントリー倶楽部(7,471ヤード・パー72)
 誰もの脳裏に“58”の2文字が浮かんだ。国内男子ツアー「サン・クロレラ クラシック」の3日目、早朝から行われた第2ラウンドをトータル3オーバー60位タイで通過した石川遼が、続けて行われた第3ラウンドで突如爆発。小樽カントリー倶楽部のコースレコードを更新する“63”を叩き出しトータル6アンダー8位タイに急浮上した。
「石川遼1打速報」で全ストロークを振り返る
 「思わぬ形で先が明るくなりました」天候不順による連日のサスペンデッドで苦しんだ予選ラウンドをなんとかくぐりぬけた先にあったのは目の覚めるような青空だった。きっかけは第2ラウンドを終えてすぐに向かった練習場だった。現在トップをこれまでよりもフラットにおさめるスイングを作っている石川だが「チェックをしているつもりだったが甘くなりつつあった。でもショットは悪くなかったので変えようとは思えなかった」良い結果が出ている時は何かを変えることは勇気がいる。しかし、この日の第2ラウンドは3バーディ・5ボギーと崩れあわや予選落ち。後のない状況に追い込まれたことが、石川にもう一度スイングを見直すきっかけを与えた。
 36ホールをラウンドするという過酷なスケジュールにも休むことなく練習場で球を打ち続け手応えをつかんだ石川。第3ラウンド1番ティに現れた時は別人だった。1番こそチャンスを逃しパーとしたものの、2番で「右に外すことが多かった」という苦手の下りスライスラインを決めたことで一気に勢いに乗る。続く3番もバーディ、さらに残り200ヤードを20センチにつけるスーパーショットを見せた5番を皮切りに3連続、9番では6メートルを沈め前半30でハーフターン。ショットもさることながらパッティングに悩みを抱えていた姿もそこにはなかった。
 「パッティングについて考えることが多くてストロークがゆっくりになっていた。もう少しコンパクトに打つようにしたらそれが上手くいってくれた」それはまさに昨年の絶好調時のリズム。神がかったようにピンに絡むショットが、本来の石川のパッティングも呼び起こした。後半は10番、11番と連続バーディを奪うと、14番でもバーディ。15番では第3ラウンド唯一のピンチといえる2メートルのパーパットを残したがきっちりねじ込むと難しい上がり3ホールでもスコアを落とすことなくホールアウト。日没間近の18番グリーンにギャラリーの拍手と声援がこだました。
 「今週は今までゴルフやってて一番ハードなスケジュール。でも自分がやったことがないことを出来るのは良い経験になるし、今日やったおかげで開眼したというか、良いもの見つけたなと思う」連日のサスペンデッドで石川は毎日2時半には起きて早朝からのラウンドに備えていた。さすがの石川も疲れが否めなかったが、「自分のプレーを天気のせいにしたくなかったし、遅くまで見に来てくれる方に恩返しというか熱くなって欲しかった」苦しいスケジュールに対する反骨心、遅くまで応援してくれるギャラリー、そして練習場で手応えをつかんだ喜び。そのすべてを原動力にして圧巻のコースレコードを叩き出した。
 「これだけ素晴らしいコースでのレコードは誇りに思います。でも、コンディションとか色んなことが重なってレコードを切ることが出来るので、ある意味奇跡ですね。自分が良いプレーをするだけでは出来なかったと思います」首位のディネッシュ・チャンド(フィジー)、高山忠洋とは9打差と連覇へ向けては厳しい道のりだが今年もしっかりとその名を小樽に刻んだ石川。上位で迎える最終日、更なる奇跡を演出することが出来るか。
【第3ラウンド順位】
1位T:高山忠洋(-15)
1位T:ディネッシュ・チャンド(-15)
3位:リャン・ウェンチョン(-14)
4位T:べ・サンムン(-9)
4位T:平塚哲二(-9)
6位T:丸山茂樹(-7)
6位T:H・T・キム(-7)
8位T:石川遼(-6)他5名
14位:池田勇太(-5)
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