イングランドは調子が悪いながらも、途中からボールを散らすことを心掛けていた。両者のサイドチェンジの数を比べれば一目瞭然。日本は逆に、それができなかった。毎度のことながら。パスの距離が短いので、イングランドの選手の走行距離は増えなかった。

敗因を一言でいうなら「走りすぎ」。

思い出すのは、昨年9月のオランダ戦だ。彼らも、パスの展開は大きかった。調子が悪いながらも、それだけは出来ていた。

イングランドもオランダも、パンチは決まらなくても、ボディブローだけは「これをやっておけば、日本は終盤必ずバテる」とばかり、確信を持って打っていた。

そこで毎度思い出すのが、カタール代表、ブルーノ・メッツ監督の岡田ジャパン評だ。「日本はプレスを掛けると行き場を失う」

「ボールを散らすことを不得手とするサッカーだ」と、彼は言いたかったわけだ。プレッシングを標榜しているのにプレッシングをかけられると、脆さを見せる。この現実は、プレッシングとは何かを、真に理解していないから起きうるのだと僕は確信している。ボールを奪ったらスパッと開く。最近の話では、守備的だと言われているインテルにさえ、そうした傾向を見ることが出来た。

相手を走らすことにかけてはデンマークにも一日の長がある。彼らの信条はダイナミックな展開だ。頭脳的なプレイとはこのことを指す。

走るより走らせる。日本のサッカーが走るサッカーではなく、走らされているサッカーに見えて、僕は仕方がない。

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