1992年から97年にかけてマンチェスター・ユナイテッドのストライカーとして活躍し、“ザ・キング”の異名をとったフランス人FW、エリック・カントナ氏(42)が22日、フランス日曜夜のサッカー番組「カナル・フットボール・クラブ」(カナル・プリュス局)に生出演し、サッカー界への本格復帰の希望を語った。

 カントナ氏は97年に31歳の若さで惜しまれながら現役を退いた後、俳優として映画やコマーシャルに出演したほか、現在ビーチサッカーのフランス代表監督を務めているのみで、サッカー界からは遠ざかっている。観客席のサポーターにピッチから“カンフーキック”をお見舞いするなどの事件で知られたアクの強いキャラクターは、なかなかサッカー界に受け入れられないのが現状だ。

 その強烈な個性は、現在アルゼンチン代表の指揮をとるマラドーナとも比較される。本人もそのあたりを意識しているらしく、「マラドーナはクラブの監督としてはほとんど勝てなかった。それが、アルゼンチン代表監督としてはどうだ。自分に合った居場所で、結果を出している。だから自分も、すぐれた選手たちと仕事をしなければならない」と語っている。

 カントナはこれまでもたびたびフランス・サッカー界に対する嫌悪感を仄めかしており、自分が監督になるとしたら、古巣マンチェスター・ユナイテッド以外は考えられないということを言いたいようだ。「自分が正しいかどうかはわからないが、自信はある。監督を引き受けるとしたら、アーティストとしてやる」と、67歳になったアレックス・ファーガソン監督の後継者として自ら名乗りをあげたカントナ。実現性はともかく、決して退屈しないサッカーを見せてくれそうなことは確かだ。