プレミアリーグのウェストハムからスペインの名門レアル・マドリーに半年間の期限付きで移籍したフランス人MFジュリアン・フォベール。本人すら「信じられない。最初は冗談かと思った」と驚いた移籍だったが、周囲から今冬の移籍市場で最大のサプライズ、とばかり騒がれているのには少々うんざりしているようだ。

 4日付のレキップ紙に掲載されたインタビューでフォベールは、自国の選手のレアル入りを喜ぶ代わりに意外性ばかりを強調するのはフランス人特有のメンタリティーだ、とメディアの扱い方を快く思っていない。「レアルのようなチームが選手をひらめきだけで獲るわけがない。長期的な視野で見ているはずだ。(メディアの)自分に対する見方が変わるように全力を尽くす」と、シーズン終了後にレアルが買い取りオプション(600万ユーロ、約7億円)を行使するような結果を出す意欲を語った。

 フォベールにとって今回のレアル入りには、やっとここまでたどりついた、という思いがあるはずだ。2007年7月にボルドーを出る決意を固めたフォベールには、ASローマという選択もあったが、実現しなかった。その結果ウェストハムに決めた選択については、フランス代表のドメネク監督から「トップ4以外のチームを選ぶなんて馬鹿げている」とまで言われた。フォベールには、たった1度の招集(代表デビュー戦ではゴールもあげた)で見限ったドメネク監督を見返したい意地があったろう。しかしその発言の後すぐにアキレス腱断裂という重傷を負い、ウェストハムでは不本意に終わった。

 フォベールは「アネルカ(当時ボルトン)だってシンボンダ(当時ウィガン)だってトップ4のクラブじゃなかった。監督の発言には矛盾がある」とドメネクの発言を忘れていない。「彼(ドメネク)への返答はピッチで見せる」と文句なしのトップクラブで代表へ返り咲くに値する活躍を誓っている。