厚労省「納付書」発送遅れの原因は「印刷ミス」だった

写真拡大

   企業が労働保険料を納めるために必要な「納付書」の発送が厚生労働省のミスで遅れ、保険料の納付期限が1か月先延ばしになることがわかった。影響を受けるのは全国の45万9000事業所で、徴収が遅れる保険料の額は8600億円。年金問題が完全に解決しないまま新たな不祥事が発覚した形で、事務処理のずさんさに批判の声が上がりそうだ。

全国約45万9000事業所に影響

   労働保険とは、労災保険と雇用保険とをまとめた呼び名で、労働者を雇っている事業者は、個人・法人にかかわらず、必ず加入することが法律で義務付けられている。保険料は1年に1回納めることが原則だが、一定の条件を満たせば、3回に分けて納めることができる。

   今回のトラブルの影響を受けたのは、この「分割納付」をすることになっている、全国の約45万9000事業所。2008年度の2回目の納付期限は8月31日で、本来ならば8月中旬には、納付に必要な「納付書」が、事業者に送られてくるはずだった。ところが、厚労省の不手際で、納付書は未だに発送されていないのだ。

   厚労省の労働保険徴収課によると、問題が発覚したのは08年8月1日。厚労省では、納付書に使用するOCR(光学読取)用紙の印刷を外部に発注。納品された用紙を改めて検査してみると、実は政府の規格に合っていなかったことが発覚したのだという。刷り直しを余儀なくされた結果、正しい納付書の発送は、9月中旬にずれ込むことになった。

   厚労省では「(印刷業者との)コミュニケーションが十分ではなかった」とも話しており、発注の際に、厚労省から印刷業者に用紙の仕様が正しく伝わっていなかったことが原因である可能性が高い。

8月19日に納付書送付の遅れを知らせるはがきを発送

   8月19日には、納付書の送付が遅れることを知らせるはがき約45万9000枚を該当する事業者に発送し、納付期限についても、1か月後の9月末に延期する方向で調整を進めている。徴収が遅れる額は、8600億円にものぼる。期限が延長されても納付額は変わらないとのことで、企業にとっては「資金繰りや利息の面で助かる」という面もありそうだが、厚労省の事務処理のずさんさに批判の声があがりそうだ。

   「発送遅れ」が発覚してから半月がたつが、まだ公式には発表されていない。その理由については、厚労省では

「現在、色々と取りまとめている途中でして、大変申し訳ありません」

と話している。

J-CASTニュースとは?

従来のマスコミとは違うユニークな視点で、ビジネスやメディアに関するさまざまな記事を発信しています。読者投稿のコメント欄も充実!
期間限定で「 環境・CSRウォッチ」も実施中!