2007-08シーズン、そしてフランク・ライカールト監督にとってホーム最終戦となったマジョルカ戦はアンリとエトーのゴールで2点をリードしながらも、後半に3点を奪われバルサは逆転負けを喫した。シーズンを象徴するかのような逆転負けにスタンドはブーイング、パニョラーダ(白いハンカチを振り、怒りの抗議を表す)の嵐となった。

「ファンは自分が感じたことを表現する権利がある。ファンは勝者であるバルサを望んでいるし、バルサはそれを与えるチームにならなければならない。我々はファンを非難することはできない。チームには環境や雰囲気に負けない強さを身につける必要がある。それが出来ていた時もあるが、環境がチームを圧倒することもしばしばあった」。

 ファンの容赦ないブーイングについても、ライカールト監督らしく「理解する」との言葉を送っているが、「負のエネルギーに包まれた中でプレーするのは悲しいことだし、選手を思うと悲しい」とも。

 失望以外の何ものでもないシーズンとはいえ、シーズン最後のカンプ・ノウでの試合だっただけに、ファンに勝利をプレゼントしたかったがそれも叶わなかったライカールト監督。敗北もさることながら、ファンの選手へのブーイングはつらいものだったのだろう。「チームにとっても、私にとっても“悲しい夜”となった」とライカールト監督は語っている。

 後半ロスタイムの93分にグイサの逆転ゴールが決まった時、天を仰いだライカールト監督。何を思いピッチを後にしたのだろうか?バルサに2度のリーガ、そしてクラブ史上2度目となるチャンピオンズリーグをもたらした功労者であるライカールト監督にとってカンプ・ノウ141試合目は悲しい別れの舞台となった。

(スペイン通信)