今シーズン終了後のトッテナム退団が濃厚といわれるFWディミタール・ベルバトフの去就が、来シーズン以降のプレミアリーグの行方を大きく左右しそうだ。ベルバトフの獲得には、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシー、そしてマンチェスター・シティなどが興味を示しており、このブルガリア代表FWの動向が各クラブの補強プランに大きな影響を与えることになりそうなのだ。

 ベルバトフ獲得の最右翼といわれているのが、アレックス・ファーガソン監督率いるマンUだ。昨夏、トッテナム側に1090万ポンド(約23億円)のオファーを提示しているマンUは、この倍の金額でブルガリア代表FWの獲得に乗り出す予定だ。ベルバトフ側も、イングランドに留まる場合はマンUが移籍先として最適であることを認めており、あとは交渉次第との見方もある。そこで、もしマンUが獲得に成功した場合、ファーガソン監督が獲得候補に挙げている、クラース・ヤン・フンテラール(アヤックス)、ルイス・ファビアーノ(セビージャ)、ロケ・サンタクルス(ブラックバーン)といった選手の獲得合戦が新たに勃発しそうだ。

 プレミアリーグとチャンピオンズ・リーグのタイトルをマンUと争うチェルシーも、ベルバトフ獲得に乗り出している。ロシア人オーナーのロマン・アブラモビッチは、補強資金として最大1億ポンド(約207億円)までの捻出を容認するものと見られており、ベルバトフも獲得候補の一人に挙げられている。しかし、ベルバトフ獲得に失敗した場合は、パレルモのアマウリやバレンシアのダビド・ビジャにターゲットをスイッチする可能性もある。

 さらに、ベルバトフ獲得に興味を示すのが、元タイ首相のオーナー、タクシン・シナワットの潤沢な資金をバックに大型補強を敢行するとみられるマンCだ。一部報道では、このブルガリア代表FWの獲得に英国記録となる3200万ポンド(約66億円)の移籍金を用意しているとも伝えている。しかし、ベルバトフはチャンピオンズ・リーグでのプレーを渇望しており、現在9位のマンCにとっては厳しい戦いが予想される。さらに、スウェーデン人監督のスベン・ゴラン・エリクソンを解任し、フェリペ・スコラーリ現ポルトガル代表監督の招聘を目論むタクシン・オーナーは、このブラジル人監督のために、CSKAモスクワの“セレソン4人衆”、FWジョー、FWヴァグネル・ラブ、MFダニエル・カルバリョ、MFドゥドゥ・セアレンセをまとめて獲得するプランも温めていると言われている。

 プレミアの強豪クラブに加え、ACミランやバルセロナなども巻き込んだベルバトフ争奪戦が予想される今オフの移籍マーケット。このブルガリア代表FWの去就は、プレミアリーグだけでなく、欧州サッカー界の勢力図にまで影響を与えることになりそうだ。

ディミタール・ベルバトフ(Dimitar Berbatov)


生年月日:1981/01/30
所属   :トッテナム
国籍   :ブルガリア
ポジション:FW