国際ローミング対応携帯電話なら、海外旅行にそのまま持っていける

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来週から始まるゴールデンウィーク、自分の携帯電話を海外に持っていこうと考えている人も多いだろう。一方で「海外に行くときくらいは携帯のことは忘れたい」と思う人もいるようだ。果たして携帯電話は海外旅行に必須の道具なのだろうか?

■緊急連絡手段として海外に携帯電話は持っていくべき
今年のゴールデンウィーク(以下GW)も多数の日本人が海外旅行へと繰り出すようだ。JTBの発表によるGW旅行動向によれば今年は休みが短期集中型となることから旅行者数は前年比14.6%となる見通しとのことだが、それでも50万人弱の日本人が海外旅行を計画していることになる。

さて最近は自分の携帯電話をそのまま海外で利用する人も増えているだろう。各通信事業者が「国際ローミングサービス」を強化したことで、今では多くの日本の携帯電話が海外でもそのまま利用できるようになっている。また携帯電話が国際ローミングに対応していなくとも、携帯電話内に装着してあるSIMカード(FOMAカード、Softbank USIMカード、auICカードなど)を国際ローミング対応携帯電話に差し替えれば、自分の携帯電話番号のままそのまま海外で利用することも可能だ。

また成田空港などではこの「国際ローミング対応携帯電話本体」だけのレンタルを各通信事業者が行っている。自分のSIMカードを入れ替えることで、海外でも日本にいるときと同様に普段の自分の携帯電話番号を利用することができるわけだ。普段日本ではSIMカード方式のメリットは感じられないが、このように海外渡航期間だけの対応端末を借りられるという利点もあるわけだ。
自分のSIMカードをレンタルした国際ローミング対応携帯に差し替えれば、自分の電話番号をそのまま海外で利用できる


便利になった国際ローミングサービスだが、一方では「海外にいるときくらいは携帯電話のことは忘れたい」「日本との連絡を絶ってのんびりしたい」という考えの人もいることだろう。たしかに毎日のように仕事の電話やメールを頻繁に受けている人ならばそう考えたくなる気持ちも理解できる。

ところで、ほかの諸外国の海外旅行者たちはどうだろうか? 実は国際ローミングサービスは海外ではすでにあたりまえのものとなっている。海外で最も普及しているGSM方式では最初から自国以外でもローミングサービスが提供されており、自分の購入した携帯電話が自国以外で利用できることも当たり前になっている。そのため海外の携帯電話利用者の多くは、海外旅行時に「自分の携帯電話が他国で使えるかどうか」と考えることは少ない。そのまま海外に持っていけることが一般的であるため、海外旅行にも携帯電話をそのまま持っていく人が多いのだ。

そのため海外の人が「海外滞在中は携帯電話を使いたくない」からといって、携帯電話を持っていかないと考えることは少ない。海外滞在中に仕事などの連絡を受けたくないと思えば、電源を切っておけば済むだけのことなのだ。自国では毎日携帯電話を持ち歩いているのだから、海外でも同様に持ち歩くほうが安心できるということもあるだろう。「海外に行くから持って行かない」と考えるほうが、海外では特殊な思考のようだ。

では海外に携帯電話を持ち出すメリットはどこにあるだろうか? 日本にいるときと同様に携帯電話でコミュニケーションをとることができるという利点は大きい。しかし最も需要なのは、緊急時に日本語で日本と連絡が取り合える、ということだ。

海外旅行は日本の国内旅行に行くのとは違う。たとえツアー旅行で日本語だけで全旅程を過ごすことができたとしても、滞在しているのは日本ではなく異国の土地だ。どんなトラブルが待ち受けているかわからない。たとえば自由行動時間中にグループとはぐれてしまったり、トイレに行っているうちにツアーバスに乗り遅れてしまったといったこともありうるかもしれない。
あるいは夜中にホテルで急病になってしまい、ベッドから起き上がることができなくなるかもしれないだろう。そのようなとき、日本であれば周りの人に助けを求めることが簡単にできるかもしれないが、海外では日本語が通じなければ助けを求める内容すら正確に伝えることは難しい。しかし手元に携帯電話があれば、最悪でも日本のどこかに電話して助けを請うことも可能になるはずだ。

すなわち海外に携帯電話を持っていくことは、緊急ホットラインとしての役割が大きくなるのだ。「毎日メールを見たいから」という理由ではなく、イザというときの頼み綱として利用できることからも、海外旅行時には携帯電話を持っていくことを強くお勧めしたい。

■海外での携帯電話の使い方には注意
自分の携帯電話が国際ローミングに対応していなくても、前述したように成田空港などでは国際ローミング対応携帯を貸してくれるので、そこに自分のSIMカードを装着するだけで海外でも自分の電話番号を利用できる。ただしauの非ICカード対応端末利用者などはそれをすることができない。その場合はサブにSoftbankなどの維持費の安い携帯を1台買っておくのもいいかもしれない。最近は量販店などで「スパボ一括9,800円」など安価に購入できる端末もあるので、それを仲間内で共同で使うのもいいかもしれないだろう。

さて海外で携帯電話を使えるからといって、日本と同じ感覚で利用するのはやめたほうがよい場合もある。日本と海外では治安状況も違うため、日本のような利用方法が危険となる場合もあるのだ。

たとえば歩きながらメールの読み書きをするのはやめたほうがよい。路上などで携帯電話に集中している間に、ハンドバッグやカバンをひったくりに盗まれてしまう可能性もあるのだ。カバンの持ち方にしても、たとえばたすきがけにしていないだけでバイクスリから見れば「盗みやすい」とすぐに見られてしまう恐れがある。その上、携帯電話に集中していればなおさら目だってしまう。海外の街中を歩いてみればわかるが、日本のように携帯電話に集中して歩いている人はほとんどいないのだ。

また電車の中では日本と違い、携帯電話の利用に一切制限の無い国も多い。しかし夜遅くなどに車内で日本語で大声で会話をしていれば、こちらが外国人であることをアピールしているようなものである。暴漢やスリなどに目をつけられてしまう恐れもある。通話しながら電車を降りる際、ドア付近でカバンをひったくられたという話も実際に聞かれるくらいだ。

海外でも自分の携帯電話(あるいは電話番号)が使える国際ローミングサービス。「日本と同じ感覚で利用できるもの」とは考えず、緊急時のツールになること、そして日本とは違い周囲の環境に気をつけながら使うこと、この2点に留意して利用したいものである。

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山根康宏
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