片や勝ち点0を1に、片や勝ち点3を1に。時を同じくして同じようなドラマが生まれた今節のレアル・マドリーとバルセロナ。しかし、このドラマは両チームの明暗をくっきりと分けた。カンプ・ノウにエスパニョールを迎えたバルセロナは、2-1で迎えた試合終了間際にまたしても痛恨の失点。首位奪回というビッグチャンスを自ら再び放棄してしまった。ホームで勝ち点3を取りこぼしたバルセロナのタイトル獲得はもはや風前の灯だ。

「今シーズンの僕らを象徴する試合だった。この結果は僕らのこの一年を集約している。タイトル獲得は難しい状況だ。絶対的にレアル・マドリーが有利だからね。もし僕らがタイトルを獲得出来なかったとしたら、それは僕らが自分自身に負けたからであって、レアル・マドリーが勝ったからじゃない。僕らが彼らにチャンスを与え、今回も優勝の半分をプレゼントすることになってしまった…。もうこれは悲劇だよ」。

 試合後、そうコメントしたチャビ。今シーズンのバルセロナは、首位をレアル・マドリーに明け渡したベティス戦のように決めるべきところで決めきれず、勝ち点3を棒に振り、今節のレアル・マドリーの“引き分け”という最高のお膳立てをもふいにした。天国から地獄へ突き落とされたというより、自ら落ちていったと言う方が正しいだろう。

 キャプテン、プジョールも「リーガは一試合で決まるものじゃない。シーズンを通して僕らは不安定なプレーをしてきた」とチャビと同じように語り、チーム、クラブに自己批判を求めた。それでも、「最後まで戦い、タイトルを失ったなんて考えないようにしよう。希望を捨てちゃだめだ」とファンにメッセージを送り、サポートを求めている。

 もはや奇跡が起こることに頼るしかなくなったバルセロナ。しかし、奇跡はそう何度も起こるものでもないし、これまでもバルセロナが幾多のチャンスを自ら逃しているということから考えると厳しいようにも思われる。フットボールでは何が起こるか分からないとしてもだ。いずれにしても、来週日曜日(17日)にリーガという最高のドラマが最終回を迎える。どのようなシナリオが用意されているのだろうか?

(スペイン通信)