「60歳を超えたら、『髪は染めるもの』とか『年相応』といった固定観念に縛られず、自由に生きたいわね」(島崎真代さん)

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2026年2月17日放送のNHK『あさイチ』は「やめ時&やめ方」の特集。白髪染め、コンタクト、調理器具…「当たり前に続けてきた習慣をやめてみた」という人に、やめ時・コツを聞きます。そこで、白髪染めをやめてグレイヘアを実践している人たちに移行期の対策などを聞いた『婦人公論』2020年11月24日号の記事を再配信します。*****挑戦してみたいけれど、移行期が大変そうで踏み切れない、まわりの目が気になる──。グレイヘア実践者は、その壁をどのように越えたのか。移行期の対策からケアの方法、グレイヘアの楽しみまで、4人の《先輩》に伺った(撮影:本社写真部)

【写真】白髪染めをしていた頃→逆プリンに。ターバンの巻き方も!

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「10歳くらい老けて見える」と反対されたけど

お話を伺った方 島崎真代さん
グレイヘア歴 3年
開始年齢 62歳
成功のコツ ヘアアクセサリーで生え際を隠す

島崎真代さん(65歳)がグレイヘアにしようと決めたのは3年前、62歳の時だ。以前は、髪を染めるために2ヵ月半に1回は美容院へ行っていた。時間を取られるのが苦痛で自宅で染めることもあったが、ある時、鏡を見て愕然とする。

「額が後退して、生え際がちょっと薄くなっていたんです。もしかして薬剤が合わないのかな、このままどんどん禿げていったらどうしよう、と少し怖くなって。それで染めるのをやめました」

友人や娘たちは、「10歳くらい老けて見える」と大反対。でも島崎さんの思いは揺らがなかった。

いざやめると、染まっている部分と白髪部分がくっきり2層に。「逆プリンみたいになり、ちょっとつらかったです。3ヵ月目から気になり始め、慣れるまで1年かかりました」と島崎さん。そこで思いついたのが、バンダナやスカーフをターバンのように巻いて色の境目を隠す方法だ。

《グレイヘア×ターバン》のスタイルは大好評

「ある夏の日、涼しさを得るためだけにバンダナを巻いて病院へ行ったところ、看護師さんが『おしゃれですね』と褒めてくれて。そうか、逆プリン頭にはターバンが最適だ、とひらめいたのです」

家に眠っているスカーフをはじめ、お土産にもらったバリ島のサルエルパンツや娘がはかなくなったミニスカートまで活用。裁断の必要はなく、細長く丸めるだけで十分使えるという。最初は4センチ幅くらいから始めたが、徐々に大胆な使い方をするようになった。

「ターバンには大きなイヤリングがよく似合います。あと、眉毛をしっかり描くのが大事。口紅の色は、ちょっと派手めがいいみたい」

ほかにも、老けて見えないようにサングラスを頭にのせるなど工夫している。お手本は、自由にファッションを楽しんでいるパリのマダムたち。ファッション誌を参考に、おしゃれの研究も怠らない。

無縁だと思っていた原色が似合うように

「グレイヘアにしてから服装の傾向も変わりました。鮮やかな緑やオレンジ、ショッキングピンクなど、それまで自分とは無縁だと思っていた原色が似合うようになったんです。おかげでおしゃれがますます楽しくなりました」

《グレイヘア×ターバン》のスタイルは知人たちから好評で、最近は人に教えることもあるという。今年9月には「ターバン倶楽部」を立ち上げ、さっそく80代、90代の方に向けて教室を開いた。

「皆さん、本当に楽しそうでしたし、喜んでいただけました。何歳になっても、おしゃれは女性を輝かせるんですね。これからは高齢者施設などで、ボランティアでお教えしたいなと思っています」と島崎さん。

グレイヘアにする前は「私なんか」と思いがちで、人に何かを教えるなど考えてもみなかったが、グレイヘアにしたおかげで思いがけず世界が広がった。最初は反対していた娘さんも、今や島崎さんがインスタグラムにグレイヘアファッションを投稿しているのを見て面白がっている。

そして気になっていた生え際はというと、染めるのをやめてから1年ほどで復活。しかも新しく生えてくる髪は以前より太くなったそうだ。「60歳を超えたら、『髪は染めるもの』とか『年相応』といった固定観念に縛られず、自由に生きたいわね」という島崎さんの言葉が印象的だった。


「以前は白髪を隠すために美容院に行くのが億劫でしたが、今は髪形を変えるために行くので楽しいんです」(ねぎさん)(Before写真提供:ねぎさん)

白髪は染めるものと思い込んでいたけれど

お話を伺った方 ねぎさん
グレイヘア歴 6年
開始年齢 42歳
成功のコツ 編み込みスタイルで境目隠し&手入れ感

グレイヘアにトライしている人、してみたい人を勇気づけているのが、応援サイト「グレイヘア東京」代表のねぎさん(仮名、48歳)。若い頃から白髪が多くずっと染めてきたねぎさんは、とにかく面倒という理由から30代の時に2回グレイヘアに挑戦したことがある。

だが、当時はまだ若かったこともあって気持ちに折り合いがつかず、また黒く染めて、のくり返し。30代後半で出産し、幼稚園の送り迎えで他のママたちと会う機会が増えると、定期的に染めざるをえなくなった。次第に、髪の根元が白くなっていないか気にすることに疲れてもいったという。

「当時は理由もなく、白髪は染めるものと思い込んでいました。ところがある時、薬剤で頭皮全体が真っ赤にかぶれてしまって。このまま続けたら髪が抜けるのではと不安になり、42歳の時にやめました。髪が薄い夫にそのことを伝えたら、『量があれば何色でも御の字だよ』と言っていましたね(笑)」

すると使っていた薬剤のせいか、色が抜ける過程で髪がやや青緑色に。あえて染めていると思われ、「その色、どうやって出すんですか?」と聞かれることもあった。

「まだ腹をくくり切れておらず、髪のことに触れられたくない時期だったので、ちょっと動揺しましたね。でもその後しばらくして、息子の同級生の女の子が私の白い髪を見て、『《アナ雪》のエルサみたいでいいね』と言ってくれて。当時、『アナと雪の女王』が流行っていましたから。そんな見方もあるのかと、びっくりしました」

グレイヘアを目指す人の背中を押してあげたい

白髪で行こうと腹が決まり、決意表明としてブログを始めたところ、アクセスが徐々に増加。「勇気づけられました」といった声もあり、それならば、と「グレイヘア東京」を立ち上げることに。

ねぎさん自身も移行期の上手な過ごし方などの情報を探すのに苦労したため、白髪やグレイヘアについて綴っているブログをサイト上で紹介し始めた。そのなかでわかってきたのが、美容師から「まだ早いです」と止められるケースが多いということ。次第に、グレイヘアを応援する美容師の情報も届けたいと思うようになり、サイトはどんどん充実していった。

「サイトを通してグレイヘアの素敵な人たちとも知り合い、自分の選択は間違っていなかったんだと嬉しくて。その感動を他の人にも味わってもらいたいという思いから、オフ会も始めました。共通点はグレイヘアだけで、年齢もさまざま。でも会うと楽しいし、盛り上がります。髪のことだけでこんなに人とつながるようになるとは、想像していませんでした」

ねぎさん自身は、グレイヘアにしたことで頭皮の健康が回復。髪の根元も気にせずに済むようになり、ストレスがなくなったという。

「以前は白髪を隠すために美容院に行くのが億劫でしたが、今は髪形を変えるために行くので楽しいんです」とねぎさん。地方ではまだまだグレイヘアへの理解が進んでいないと感じているそうで、「サイトを通じて全国にグレイヘアの魅力を届けたい」と前を向く。

移行期に活躍!お助けアイテムPick Up

白髪と染めた髪の境目が目立つ時期を、いかにうまく乗り越えるかが成功のカギ。皆さんが重宝したアイテムは?


島崎さんがターバンとして愛用している生地。アロハシャツも袖や襟を入れ込みクルクル巻いてしまえば、立派なヘアアクセサリーに


「大ぶりのイヤリングやヘアクリップをつけると、《おしゃれで白髪にしている感》が出るのでおすすめです」とねぎさん


ねぎさんはデザイン重視の帽子も愛用

《ルポ》染めるのをやめたら、新しい世界が広がった!
【1】《グレイヘア×ターバン》のスタイルは大好評​――島崎さんの場合
【2】グレイヘアを目指す人の背中を押してあげたい――ねぎさんの場合
【3】「髪の色、素敵ですね」と声をかけられて――石岡さんの場合
【4】コロナ禍の外出自粛を機にグレイヘアへ――chachaさんの場合