快投の山本由伸にヤ軍地元局もタジタジ…昨オフの争奪戦で3億ドル提示の過去に“未練”も「ヤマモトは切望していた投手だった」

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気迫の投球でヤンキース打線を見事にねじ伏せた山本。(C)Getty Images

 どこか胸のすくような快投だった。

 現地時間10月26日、ドジャースとヤンキースによるワールドシリーズ第2戦で、山本由伸(ドジャース)が先発登板。6回1/3(86球)を投げ、被安打1、4奪三振、1失点と好投し、同シリーズでは松坂大輔(2007年/レッドソックス)以来となる日本人2人目の勝利投手となった。

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 大舞台でも臆さなかった。チームが1-0とリードした3回には、フアン・ソトに右越え同点ソロ本塁打を浴びたが、打たれたヒットはこれだけ。今季58本塁打の相手主砲アーロン・ジャッジからは、2三振を奪うなど仕事をさせず。強打のヤンキース打線を機能させなかった。

 自慢の打線を封じられ、ニューヨークのスポーツ専門局でも山本は垂涎の的となった。ヤンキースの試合中継を担っている『YES Network』のコメンテーターであるマイケル・ケイ氏は「打線の半分が機能していない状態だ。おまけにジャッジをはじめとする主軸は迷走中だ」と前置きした上で、「ヤマモトの好投は偶然じゃない。シーズン全体では故障者リストで多くの時間を過ごしたが、2度の最高のピッチングはどちらもヤンキースを相手にしたものだった」と絶賛した。

 思えば、複数球団による争奪戦が繰り広げられた昨オフ、山本獲得の「最有力」と見られていたのはヤンキースだった。ペナントレースが佳境を迎えていた9月にはブライアン・キャッシュマンGMが来日視察。大枚を叩く覚悟はあった。

 だが、結果的に山本はドジャースと契約。それも大谷翔平を除く投手ではメジャー史上最高額となる12年総額3億2500万ドル(約455億円)のメガディール。ヤンキースは見事に競り負けた形だった。

 そうした過去もあり、ヤンキースにとって山本は“難敵”になっていくかもしれない。『YES Network』のコメンテーターであるジャック・カリー氏は「覚えておいてほしい。ヤマモトはヤンキースが切望していた投手だったんだ」と惜しんだ。

「キャッシュマンが自ら日本まで行ってスカウトをしたんだ。そして、ヤマモトはその試合でノーヒッターも達成した。それでヤンキースは彼に3億ドルを提示した。しかし、彼は3億2500万ドルでドジャースと契約した。今のところ彼ら(ドジャース)の投資は非常に価値のあるものに見えるね」

 ワールドシリーズという大舞台で真価を発揮した山本。「史上最高額の投手」の声価は米球界で増すばかりだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]