Governor選手 Photo: 小野寺しんいち

最近のゲーミングガジェットの進化、とんでもないことになってます。

ゲーミングPCやモニターの高性能化はもちろんのこと、50gを下回る超軽量マウスや、キーの入力速度を高める、反応距離を0.1mm単位で調整できるキーボードなど、勝つためにとことん性能を追求した多種多様なガジェットが登場しています。

しかし。「キーボードの感度が0.1mmかわって本当に意味あるの?」とちょっと疑問に思ってしまうのは自分だけでしょうか。 世にあふれる「ゲーミング」なガジェットの効果はどれほどのものなのか、プロのeスポーツアスリートに聞いてみました。

Photo: 小野寺しんいち

話を聞かせてもらったのは、タイのeスポーツチーム「Talon Esports」の、 Governor選手。5対5で戦う世界的FPS『VALORANT』のトッププレイヤーです。

「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier」という『VALORANT』の大会でお話を聞くことができたので、同じく出場している日本チームについての印象も聞いてみました。

キーボードの進化がプレイを変えた

──最新のゲーミングガジェットは、実際のゲームプレイに影響を与えていますか?

Governor選手が使う、ラピッドトリガー搭載のRazer Huntsman V3 Pro Mini
Photo: 小野寺しんいち

Governor選手:はい、私の場合は、ラピッドトリガー*が特にゲームチェンジャーだったと思います。シンプルに、操作キャラクターの動きが速くなるんです。

ラピッドトリガーを搭載したキーボードを導入すると、ADキー(おもに左右の移動に使われる)の入力を速められるので、多くの人にとって有益だと思います。プレイ中、素早いピーキング(障害物から一瞬顔を出し、様子を確認したり攻撃したりする)や移動をする際に非常に役に立っています。ゲーミングガジェットの進化は、プレイの質を向上させていると思います。

*ラピッドトリガー: キーが押し込まれた瞬間に入力が検知され、戻ると同時に入力が解除される機能。入力のON/OFFの速度が向上し、すばやく細かな操作が可能になる。

──ラピッドトリガーが、具体的にプレイスタイルをどのように変えましたか?

試合中のGovernor選手
Photo: Jason Halayko/Red Bull Content Pool

明らかにエイム(敵を撃ち倒すために狙いを定める行為)のスタイルが変わりました。マウスを素早く動かして一気に敵にクロスヘア(照準)を合わせる「フリックショット」もありますが、ラピッドトリガーを導入してからは、クロスヘアは微調整に留めてキャラクター自体を動かして狙いを定める動作が増えました。

ラピッドトリガーでより柔軟な動きができるようになり、こうしたエイムができるようになったんです。

──ラピッドトリガーをすぐに使いこなせるようになりましたか?

慣れるまで2ヶ月はかかりましたね。感度が非常に高いので、間違ってジャンプしてしまったり、シフトキーを押しながら動くつもりが、離してしまうこともありました。

しかし今では、こうした最新の機器を使うことで、できることの上限が高くなったと感じています。

マウスは軽さより相性が重要

Governor選手が使うRazer Viper V3 Pro
Photo: 小野寺しんいち

──軽量化されたマウスも登場しています。マウスについて、何かご意見はありますか?

マウスの重さに関しては、個人の好みだと思います。

個人的には重めのマウスの方が好みです。軽量マウスも試しましたが、使い続けることはありませんでした。細かい操作が必要なので、軽いマウスだと反応し過ぎてしまうんです。

──eスポーツアスリートとして、ゲーミングガジェットではなく、反射神経の良さが勝敗にとって重要だと思いますか?

Photo: 小野寺しんいち

使っている機材の性能が高ければ、プレイする人自身も速くなります。

360Hzのモニターと、144Hzのモニターを比較すればすぐにわかります。ガジェット自体が反射神経を高めることはありませんが、誰でも、良い機材を使えば効果があると思います。

eスポーツを始める人にプロ目線のマストアイテム

──始めてeスポーツを始める人に、まずこれからそろえると良いおすすめのガジェットはありますか?

まずは、ワイヤレスのマウスを買うのがいいでしょう。有線だとコードが引っかかり、プレイの妨げになります。

次に買うとしたら、ラピッドトリガーを搭載しているキーボードですね。個人的には、Razerのものが速くていいと思います。

さらに上を目指すなら、重要なのはモニターです。もし十分なスペックのPCを持っているなら、画面のリフレッシュレートが144Hzから240Hz、さらには360Hzのモニターにアップグレードして、反応速度を高めてみてください。より素早い視野を持てるので有利です。

日本チームの印象聞いてみた

──最後に、対戦することになる日本チーム(ZETA DIVISION、DetonatioN FocusMe)の印象を教えていただけますか?

日本チームに対しては、戦術に非常に優れているという印象を持っています。ZETAは昨年、特筆すべき戦術スキルを誇っていましたが、今年もさらにそれが向上していると感じています。

また日本チームは、素早く鋭いエイムも持っています。エイムに優れた新しい選手も加入しているので、とても強敵だと思います。

eスポーツ観戦って、楽しいの? 初心者が大会を観に行ってきた

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