立憲・野田佳彦代表に生直撃!自公“過半数割れ”の可能性…政権交代に向け野党は一致できるか

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10月27日に投開票が行われる衆院選挙戦は、後半戦に突入した。各社の情勢調査では、自民党の苦戦、立憲民主党が躍進する見通しが伝えられている。「BSフジLIVEプライムニュース」では立憲民主党の野田佳彦代表を迎え、選挙戦の現状から政権交代への展望まで掘り下げて質問した。

与党は苦戦、立憲が“比較第一党”となる可能性は

竹俣紅キャスター:
最新(10月22日時点)の情勢調査によれば、FNNは「自民の単独過半数は厳しく自公の過半数を巡る攻防になる」とした。朝日新聞も「自公過半数の維持は微妙、対する立憲民主党は140議席が視野に入った」と伝えている。この状況をどう受け止めるか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
確かに自民の単独過半数割れはかなりリアリティが出てきた。自公での過半数割れのためには、もう一段、二段頑張らなければいけない。競り合っている選挙区で勝ち抜けるように。

反町理キャスター:
野田さんは立憲の候補の応援に行かれている。政治とカネの問題が、自民党にダメージを与えていると感じる場面はあるか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
政治とカネの問題は、一言は絶対に言う。そのときの食いつきは良い。だが、これからの日本をどうするのか聞きたい人も当然いる。物価の話、教育の話。地方では農業、女性候補の場合は、ジェンダーなど、色んなことをその場その場で言った方が良いと思っている。

反町理キャスター:
自公の過半数割れとは、自公以外の政党が合わせて過半数を超えているということ。野党第一党の立憲として、そのときの政治的な責任は。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
比較第一党(単独過半数には達しないが、最も多い議席を持つ政党)になるなら、政権取りのために当然各党と誠意ある対応をする。

反町理キャスター:
その場合、自公も補完してもらうべく、色んな党に相談するだろう。維新、国民など。その時、立憲に大連立の相談が来たら?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
それはない。お金の使い方を変えるのが、政権交代の醍醐味。一緒になって、裏金の話を補強してもしょうがない。

政策論から財源論まで異なる非自民各党に連立政権は可能か

反町理キャスター:
非自民の連立政権を現実的に考えるとき、政治とカネについて自民党政治を批判する点では、野党には「横串」がぶっすり刺さっているが、それ以外の安保、エネルギー、憲法、安全保障などの政策について、通っている横串が全く見えない。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
先日、不信任案を共同提出している。石破政権の最大の問題は裏金隠しだから「政治改革実現政権」は実現可能だと思う。プラスアルファで、ねじれ国会でも協力できる可能性のあるものをどんどんやっていき、政治改革の法案を参議院まで持っていき迫っていく。例えば、選択的夫婦別姓については、野党で民法改正の共同提案を2022年に行っている。これを飲めということなら、公明党はたぶん賛成してくるだろう。あるいは、紙の保険証を使い続けられるようにするのは、閣議決定で決めればいい。あとは能登の補正予算。

反町理キャスター:
エネルギー、安保、憲法といった大きな話ではなく、小さな局地戦で勝利を重ねて、参議院選挙まで駆け抜けようと?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
「少なくとも」という話。教育の無償化についても、野党各党は全部同じ姿勢なので、可能だと思う。だが、法改正が必要となることは、そう簡単ではない。ならば、閣議決定でできることからどんどんやっていき、その中で法改正。

反町理キャスター:
泉前代表の言った「ミッション型内閣」に近いイメージ。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
そうですね。

反町理キャスター:
野田さんはあちこちで「政権交代こそ政治改革」と話している。自公が過半数の233議席を割る状況になれば、少なくとも首班指名で勝てる状況が、数字の上では成り立つ。そのチャンスとなれば、立憲民主党を軸とした政権を目指しますよね。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
もちろん目指します。

反町理キャスター:
その骨となる政策は具体的に何か。とりあえず、できるところから積み上げていき、2025年の参院選までを乗り切ろうという戦術?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
「乗り切ろう」というか、今は「信無くば立たず」の状況。内外に大きな課題があるが、政治に信頼を取り戻すことが政策推進力になる。そのための本気の政治改革を、最初にやることは大きな横串だと思う。加えて、教育の無償化などをやっていく。

反町理キャスター:
財源をどうするか。消費税に関しても、立憲の中ですら代表選では考えが分かれていた。野党の中でも、まず消費税を5%まで下げてからという意見もあれば、すぐにゼロだという政党も。維持した上で給付だという野田さんのような考えもある。共産党の田村委員長は、企業の内部留保に課税して財源を絞り出す、防衛費も削ると公約として訴えている。国民民主党の玉木代表は、教育の原資として教育国債を用いると。財源論でバラバラ感が吹き出てくるのでは。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
税制に関してはいろいろ考え方がある。教育の無償化も、例えば小中学校の給食の無償化から始めるなら必要なのは5000億円。捻出の仕方には知恵の出しようがあると思う。そういうところから順次やっていく。

反町理キャスター:
すると、非自民連立政権の成立を目指すにあたっては、大づかみな政策の共通点はこれこれだが、財源についてはちょっと預からせてくださいというまとめ方に。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
手っ取り早くできることとして、5000億の話などがある。だが、兆単位の話をする時には、財源をちゃんとしなければいけない。消費税だけではなく、法人税や所得税も含め、トータルな議論が必要。その議論は、どの党も拒まないと思う。

経済・安全保障など政策面が不安視される立憲

反町理キャスター:
自公が政権を維持するにしても、立憲が政権を取るにしても、少数与党による政権となる可能性が高いと考えた時、維新や国民などの政党が、政策ごとに賛成したり反対したりすれば、政治状況は極めて不安定になるのでは。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
それを不安定と見るか、緊張感ある政治になるか。与野党が拮抗していれば、少数与党の方は野党の話を聞いて、一致点を見出す政治にもなる。それが国益のための政治となる可能性は出てくると思う。「一強多弱」が克服されて政治が前進すると捉えてもらった方が良い。自公が少数与党となり、石破さんのままではもたないとなれば、自民党が割れる可能性もある。色んなことが起こりうる状況を作り出すことに繋がる。政権交代は目指すが、政権交代前夜の夜明けが近い状況が続くかもしれない。

反町理キャスター:
過去に民主党が政権を取ったパターンでは、2007年の参院選で民主党は議席を倍増させ、まずねじれを起こした。政権交代に向けたとどめは2009年の総選挙で、115議席だった民主党が308議席になった。今回の選挙は、参院選を前にした準備段階という位置づけか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
いや、現時点で私が言うのは、ベストシナリオは比較第一党になることだということ。ベストを尽くすのは党首の責任。

反町理キャスター:
いずれにしても他党との連携なしにはありえないが、その部分が今は十分ではない?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
代表になってすぐに選挙になった。コミュニケーションを取れているかというと、それは今は選挙モードだから。だが選挙が終わった後からは、躍進するであろう国民民主党とも連合を介して協議し連携していきたい。維新ともパイプはある。丁寧な対応をしていきたい。

反町理キャスター:
共産党は相手にする?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
テーマによって可能性はある。一緒に不信任案を出した。政策的なこと、国会対策、色んなことがある。どの政党にも、誠意ある対応はしていきたい。

竹俣紅キャスター:
視聴者の40代男性からのメール。「日経平均株価がここ数日下落している。要因として自民党が過半数割れするのではという憶測がある。立憲民主党が株価を下落させることはないと確信が持てる内容の経済対策、中身を具体的に聞きたい」。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
強い経済を作る。成長力が見込まれる一方で国際競争も激しいと思われるグリーンの分野、環境エネルギー。また生成AIや半導体など、デジタルの分野に官民挙げて重点的に投資をしていくことが基本。それ以上に今は物価高で、賃上げが大事。教育の無償化、リスキリングやリカレント教育の分野に集中的に投資し、労働生産性を高めていきたい。

反町理キャスター:
京都の男性からは「尖閣漁船衝突事件が記憶に残っている。立憲は国防に不安があるが、どうするのか」とのメール。安全保障についての姿勢を。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
東シナ海・南シナ海については、自衛隊と海上保安庁が連携して、いざという時には、パンチ力のある対応ができるように。防衛費については、必要な装備を充実させていくべき。ただ、それ以上に自衛官の数が減っており、待遇改善を防衛費の中に位置づけていく。現実的な防衛政策をやっていきたい。

反町理キャスター:
安保法制については。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
違憲部分については廃止する、そのための再検証をするのが基本的なスタンス。

反町理キャスター:
違憲部分として念頭に置いているのはどこ?

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
念頭に置いていない。「これは違憲部分」と決めていない。防衛省や米国含め協議しながら検証していきたい。
(「BSフジLIVEプライムニュース」10月22日放送より)