都内にラーメン店は数知れず。その中から、醤油・塩・味噌・豚骨、それぞれのおいしい店を調査。「本当にうまいラーメン屋の「究極の塩ラーメン」…うまみ濃縮「鶏だしスープ」が絶品《野方・荻窪・北千住・千歳烏山・池尻大橋》の「ベスト3店」を大公開」に引き続き、新旧の三ツ星店を一挙にお届けします。五臓六腑にしみわたる一杯をどうぞご賞味あれ。

九段下『九段下中路』

『九段下中路(くだんしたなかじ)』赤味噌ラーメン

味噌とまぜそばの専門店。人気の「赤味噌ラーメン」は、味噌の香気が華やかに立ち上る一品で、湯気まで旨い。聞けば、あえて味噌を焼かないことで、食べる時に香りが立つようにしているそう。

スープが濃厚なのは味噌ダレ由来で、自家製芝麻醤やアサリダシなどのほか、隠し味に牡蠣のペーストでコクを加えている。ベースとなる鶏豚のスープは中濃で、くどさを感じさせない大人仕様のつくり。しょっぱ過ぎないところもいい。

一方、隠し味にあん肝を忍ばせた「白味噌ラーメン」は、マイルドリッチな飲み口……と思いきや、後からにんにくがガツン!こってり派には、こちらが推しかも。

池袋「六感堂 ROCK’AN DO」

『六感堂 ROCK’AN DO(ろっかんどう)』豚そば

個性の強いラーメンがひしめく池袋で異彩を放つのが、この美しき豚清湯。透き通るような見た目からは想像もつかないが、まぎれもない純豚骨ラーメンだ。肉がたくさん付いた肩ガラとまろやかなコクが出る豚頭をコトコト12時間炊き、上品な豚の旨みを引き出す。

クセの出やすい豚頭は、3時間ローストしてから煮るのがポイント。ダシがよく出るほか、スープにほのかな香ばしさも加わって、いいフックになる。油はラードのみ。香りは重ねない。醤油ダレも然り。ダシ素材は加えない。目指すのはシンプル。上品な豚の旨みと醤油だけで魅せるおいしさに、豚骨ラーメンの深淵を垣間見た。

金町「らーめん 三浦家」

『らーめん 三浦家(みうらや)』ラーメン

開店前から客待ちが当たり前になるまで、オープンからわずか1か月。家系ラーメンの『武蔵家』の総大将をつとめた実力派が作るラーメンは、こってり濃厚で中毒性が高い。かといって、ジャンク過ぎないのは、丁寧に下処理した豚骨と鶏ガラのおかげか。直前にブレンドする生醤油の香りが立ち、どこか上品さを感じる。

家系では太めになる麺はもちもちで、スープをしっかり持ち上げる。阿波尾鶏からとった鶏油で脂の旨さもあるため、ガッツリ食べた満足度が高い。チャーシューは低温調理後に煮て、4時間燻製。程よく柔らかく、肩ロースの旨みがしっかりと残っている。

…つづく「東京の本当うまい「町中華のラーメン」ベスト6店…なんと一杯《600円》、スープ絶品《浅草・大森・人形町・大井町・千歳烏山・清澄白河》で覆面調査隊が発見」では、あまたひしめく町中華のなかから、おいしいラーメンの店を紹介します。

『おとなの週末』2023年2月号より(本内容は発売当時のものです)