AI開発企業のRunwayが、人物の動画を撮影するだけで手軽にAIが生成したキャラクターに被写体の表情を転送できるAIツール「Act-One」をリリースしました。Act-OneはRunwayの動画生成AIモデル「Gen-3 Alpha」を利用できるユーザーなら誰でも使用可能です。

Runway Research | Introducing Act-One

https://runwayml.com/research/introducing-act-one

Introducing Act-One | Runway - YouTube





3Dモデルに表情を付ける「フェイシャルアニメーション」と呼ばれる作業には、これまでモーションキャプチャー機器やさまざまな角度からの撮影など、複雑なプロセスが必要でした。以下は「猿の惑星:創世記」での撮影の様子。俳優にはモーションキャプチャーのために数多くのセンサーを付けて演技することが求められます。

Turning Human Motion-Capture into Realistic Apes in Dawn of the Planet of the Apes | WIRED - YouTube

しかし、近年さまざまなAI企業が手軽なフェイシャルアニメーションを実現するようなAIツールを開発しており、RunwayのAct-Oneもその一つです。

Act-Oneは顔の表情のモデリングに重点を置いたAIツールで、スマートフォンのカメラなどを用いて映像を撮影するだけで、被写体の顔の表情をAIが生成したキャラクターの表情に転送することが可能です。





RunwayはAct-Oneについて「Act-Oneはモーションキャプチャーやキャラクターリギングを必要とせず、単一のビデオ入力から、無数の異なるキャラクターデザインやさまざまなスタイルに変換できます」と述べています。





Act-Oneの強みの1つは、さまざまなカメラアングルと焦点距離からシネマティックな品質のリアルな出力が可能という点で、高価な機材や複雑なワークフローがなければ実現が困難だったキャラクターの複雑なパフォーマンスを小規模なクリエイターでも実現することができます。Runwayによると、スマートフォンのカメラと台本を読む1人の俳優がいるだけで、感情に訴えかけるコンテンツを作成できるとのこと。





Runwayのクリストバル・バレンズエラCEOは「生成モデルが一貫性のあるビデオを生成できるかどうかが問題となる段階はもう終わりを告げました。現在では優れたモデルが新しいベースラインになりました。これらの違いはアプリケーションやユースケースについてどのように考えるか、そして最終的に何を構築するかにあります」と述べています。





リアルな表情の出力を実現できるAct-Oneには包括的な一連の安全対策が導入されており、公人や著名人のコンテンツを無断で生成しようとする試みを自動的に検出してブロックするための保護手段や、ユーザーが使用する音声は正当なものであるかを確認する技術ツールが含まれています。また、ツールを責任を持って使用しているか、誤用がないかといった継続的な監視も行われるそうです。

なお、Act-Oneは2024年10月22日以降、Runwayの動画生成AIモデル「Gen-3 Alpha」のユーザー向けに段階的に展開されるとのこと。

Runwayが動画生成AIモデル「Gen-3 Alpha」をリリース、数日以内に誰でも5〜10秒の動画生成が利用可能に - GIGAZINE



Runwayは2024年9月に、映画・テレビ番組製作会社のライオンズゲートと映画制作におけるAIの使用に関する提携を結んだことを発表していました。ライオンズゲート副会長のマイケル・バーンズ氏はリリースの中で「Runwayは、先見の明があり、クラス最高のパートナーであり、AIを活用して最先端の資本効率の高いコンテンツ作成の機会を開発するのを支援してくれます。私たちはAIを現在の業務を強化、補完するための優れたツールとみなしています」と述べています。