狙いは30年に向けた医療DXの本格的な推進だ。それによって普段から何でも診てもらうことができ、相談に乗ってくれる身近な医師(主に開業医)による医療を受けられるプライマリーケアの実現を目指す。



石川県・恵寿総合病院での成果

 実績は既に挙げている。石川県七尾市にある「恵寿総合病院」では21年に同社のRPAサービスを導入し、年間で約8000時間の業務削減を達成。もともと理事長の神野正博氏は同県で10年以上前から若年世代の減少を懸念すると同時に、地方の人手不足が今後も続くことから「業務を効率化して生産性を上げるしかない」と考えていた。そんな矢先に出会ったのがオープングループのRPAだった。

 最初にロボットを導入したのは手作業が当たり前だった重症度、医療・看護必要度集計と関係する項目の実施入力漏れや算定漏れのチェック。その後、コロナ禍での「発熱マップ」など60体以上のロボットを開発した。神野氏は「地方病院はどこも人手不足。やるべき仕事がたくさんあり、そこまでの余裕はない。それがRPAによってできるようになる」と話す。

 同社によると、全国約150の医療機関でRPAの経営効果は証明されているという。ただ、医療機関は民間企業と違って「患者さんの命を守ることが大事であり、それが業務効率化の犠牲になってはならない」(関係者)といった慎重な声があるのも事実。指示書や会計処理など、それぞれの領域で異なるシステムを使っているケースも多い。それらに対して大角氏は「当社のロボットはオープンな思想で設計されている。医療機関の事務処理を少しでもなくすことが現場の生産性向上に向けた第一歩だ」と強調する。

 ムリ・ムダ・ムラをいかに取り除くか─。オープングループのRPAでそれをどこまで実現できるか。医療関係者はこれまでに直面したことがない経営改革に臨まなければならないだけに、同社の手腕が試される。

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