”ガンプラ”以上にガンダムだ…「これ本当にレゴでつくったの?」制作費30万円の「リアルガンダムの正体」

写真拡大 (全3枚)

制作費は1体20万円以上…

〈すげええええええ!!!〉

〈ガンプラ超えちゃってませんか?〉

〈これ、売ってください〉

自身が組み立てたモビルスーツ(MS)を紹介するXアカウントがいま、ガンダム、ガンプラファンをおおいに沸かせている。一見するとガンプラにしか見えない。だが、実はまったく違う。

市販のLEGOブロック(以下、レゴ)のみで組み立てたレゴ作品なのだ。どのMSも全長は50センチ以上と大きく、その佇まいからは静かな迫力が伝わってくる。

「大きさにもよりますが、1日3時間ほど作業に費やして、完成するまでにだいたい1〜2ヵ月かかるでしょうか。1体作るのに必要なブロックは最低でも5000個。毎回20万〜30万円分は使っていると思います」

そう語るのは、アカウント主のセイレイさんだ(@seirei526、以下「」内も同様)。

これまで手がけた代表作は次の5体で、いずれも完成時には1万〜4万以上のいいねを獲得する凄まじい反響ぶりだったという。

・ガンダム エアリアル(アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場)

・ユニコーンガンダム デストロイモード(アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場)

・サザビー(映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場)

・ライジングフリーダムガンダム(アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場)

・上記エアリアルの改良版(内部構造を一新して地震でも倒壊しない仕様に仕上げた)

ただ、これらのMSはガンプラとしても発売されている。自分好みの塗装や加工を楽しめる奥深い世界が広がっており、昔からファンが多い。あえてレゴでガンダムを作る醍醐味とは一体なんなのか。

「組み合わせを思案する時間でしょうか。LEGOブロックの種類は豊富で、3700種類以上あると言われています。その途方もないパーツのなかから、どのブロックを選び、どのような組み方をすれば理想の造形になるのか。これを考える時間が本当に楽しい。それにブロックの形や大きさが決まっているという縛りがあるからこそ、完成したときの喜びもひとしおなんです」

圧倒的なディテール表現

セイレイさんが作ってきたMSは色も形もさまざまだ。しかし制作の流れは共通している。胸部→脚部→腕部→頭部の順で作るのだという。

「ロボットの胸部は突起やダクト、曲線などの特徴が詰まっていて、特に個性が強く出る部分だと考えています。全体の印象を決める大事なポイントになるため、まずはここの作り込みから始めることにしています。なにより個人的に一番カッコいいと感じる部位なので、作っていてワクワクするんですよね」

次の脚部、腕部の制作に突入するとさらに手が込んでくる。普通のガンプラ作りでは聞きなれない “ある試験”を実施するのだ。

「私が作るMSは大きいものだと全長が80センチ近くになり、重さも8キロを超えます。そのため重りを使用した簡単な対荷重試験を実施するんです。ブロックが外れてしまった周辺部分の補強と再試験を何度も繰り返し、重さに耐えられるように構造を強くしていく。特に脚部は機体の半分以上を占める大きな部位なので、完成させるのに一番時間がかかります」

そして最後は頭部を組み立て、作品全体のバランスの微調整を重ねて完成だ。

「本物そっくりに仕上げるため、細部のディテールにはとにかくこだわります。例えば、装甲の隙間から内部の機械部品を見えるように組み立てるのもそのひとつ。組み方や段差のつけ方などで陰影を作り、生き生きとした立体感が出るような工夫も施しています」

いわゆるレゴビルダーのなかには手で図面をひいたり、製図ツールのCADを使ったりして精巧なレゴ作品を作る人もいるが、セイレイさんはそういったものを一切使用しない。キャンバスに絵を描くような感覚で、すべて頭のなかで完成図をイメージしているという。

セイレイさんの“レゴガンダム”に対するストイックな姿勢からは、どこかベテランの風格すら漂っている。ところが、取材を進めていくうちに驚愕の事実が判明する。

後編記事〈「いくらなら売ってくれますか?」と相次ぐファンの声…!「ガンプラ超えのガンダム」を作る、謎の会社員が明かした「驚きの収入事情」〉に続く。

「いくらなら売ってくれますか?」と相次ぐファンの声…!「ガンプラ超えのガンダム」を作る“謎の会社員”が明かした「驚きの収入事情」