さらに「サイレント売掛」が可能な店舗へ行けば、もはや“アリ地獄状態”に……。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはまさにこのことで、再度同じ目に遭いやすいのだ。

「ツケで飲めばイケる」という考えがなくならない限り、売掛の沼からは抜け出せない。もちろんサイレント売掛をする店も悪いけど、苦しい思いをしたのに学ばない本人もダメだ。

 そもそも、売掛まみれになる遊び方しかできない時点で繁華街で遊ぶ資格を持っていないようなものだから、セクシー女優デビューしても右から左へお金を流してしまうだろう。

◆女性側が危機感を持つしかない

 ただ、彼女たちがルールを守らないホストクラブの餌食になるのは、悩ましい問題である。お金の使い道は人それぞれだが、全てが売掛に消えてしまうのは本人としても悲しいはず。撮影も決してラクなものではないから、せっかく入ったお金が一瞬にして……となると、やり場のない気持ちが芽生えるだろう(それでも、同じことを繰り返す人は大勢いるのだが)。

 闇に飲まれた人たちによって作られる売上と、終わらない地獄。光の裏は闇と言わんばかりの現実は、見ていて非常に複雑な気持ちになる。ホストクラブをなくせばいいとか、売掛制度を廃止すれば全て解決する話ではないため、「1人1人が節度を持つ」以外に対策はないのだろう。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。