パニック症は治るもの? その治療期間は?

写真拡大 (全4枚)

パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

パニック症は治りますか?

パニック症は、ただ休んでいるだけで自然に治るというものではありません。薬物療法を含め、パニック発作を防ぐための対応をきちんととっていくことが必要です。

パニック症には、薬物療法がよく効きます。同時にパニック発作が起こりやすい気質である点をふまえ、生活習慣を見直すこと、そして、不快な感覚や状況を受け流せるように、対処法を学んでいくことも大切です。

服薬しなくてもパニック発作が起こらなくなり、発作のことを考えずに毎日を過ごせるようになれば、パニック症は治った、回復したといえます。多くの人は回復します。その状態が生涯にわたって続けば、完治したといってもよいでしょう。しかし、体質自体は変わりません。よい状態が続いていても、再びパニック発作をくり返すようになることもあります。そのため、パニック症に対しては、完治ではなく「寛解」という言葉を使うこともあります。

治療は長くかかるのでしょうか?

「パニック症」という診断は同じでも、病状は人によって差があります。発作への不安の強さ、広場恐怖の有無、回避行動の現れ方によって、これからの見通しは違います。服薬など適切な治療を受けながら、発症前と同じように生活している人もいれば、月単位で、治療に専念する期間が必要な人もいます。

診断時の病状だけでなく、どのレベルでの回復を目指すのかによっても、回復にかかる時間は異なります。日常生活は大きな問題なく過ごせるようになっても、就労可能なレベルまで回復するには時間がかかることもあります。

・初めてパニック発作を経験した人初回の発作時にきちんと原因を確かめ、危険なものではないことを確認しておくことで、パニック発作のくり返しを避けられることもあります。

・発作をくり返している人薬物療法をおこないながら、発作のくり返しを防いだり、発作を大きくしないための対処法を学んだりしていきます。発作のくり返しを防ぐことで、広場恐怖や二次的に起きてくるうつ病は予防できます。

・広場恐怖/回避行動がみられる人広場恐怖や回避行動が強く現れている場合、生活に支障をきたしやすくなります。発作の抑制をはかりながら、行動の幅を広げる取り組みが必要です。

・うつ病などを併発している人抑うつ症状が強い場合には、ゆっくり休むことが大切です。

パニック症の治療の過程は、大きく2つに分けられます。うつ病などを伴わないかぎり、「行動活性化期」が続くと考えてください。

・療養期(服薬と休養)ストレスを増大させるおそれがある刺激はできるだけ減らし、心身が休まる環境を整えていきます。

・行動活性化期(服薬と積極的な活動)活動・行動を制限せず、むしろ積極的に、不快な感覚や状況に対処するためのトレーニングなどをおこなっていきます。

できるだけ早い段階から適切に対応していくことができれば、生活への影響は最低限に抑えられます。

続きは<「パニック症」の治療は、仕事を辞めて専念するべき?>で公開中。

「パニック症」の治療は、仕事を辞めて専念するべき?