「本通りにならないのは、誰のせい?」誰がやっても絶対失敗しない飛田和緒の「副菜」

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「おいしくない」レシピは誰のせい?

「この人の、おいしいの?」

「この本、レシピ通りに作っても、なんかいまいちだよね」

自分の腕を棚に上げ、料理本やレシピを酷評するのは、罪のない戯言。よくある光景だ。

だが、料理本を何冊も担当させてもらい、レシピ記事なども作っている筆者には、「罪がない」とは言えない。

これまで関わった料理本やレシピ記事の中に、もしそう言われるものがあるとすれば、責任の99%(残りの1%は、時々レシピが長すぎると言うどこぞの出版社のせいにしておきたい)は、私にある。

なぜなら著者の作った料理はすべて、一品残らず、本当にすごくおいしく、つまり、読者の方に満足いただけないのは、筆者の書き方がまずかったせいだからだ。

筆者に限らず、レシピ担当者はみな、誠心誠意、わかりやすく、著者の味がきちんと再現できるよう、心がけて書いている。なのに、なぜ「おいしくない」ことがあり得るのか。

それはプロセスの中には、伝えるのがとても難しいものがあるからだ。

前編「飛田和緒が『いますぐ1品増やしたい』時に勧める『絶対失敗しない副菜』の極意」では、それを「加減」と書いた。

実際に手を動かして何度か作ってみないと習得できない、経験に裏打ちされたもの。

だが、本当にそれだけか。

先月発売された『副菜』(飛田和緒著 / 主婦と生活社)には、その通り作れば、その通りの見た目、その通りの味になる料理がずらりと並ぶ。

料理名でどんな味か想像がつく

豚肉と玉ねぎのケチャップ炒め

レンチンささみのごまマヨあえ

魚肉ソーセージのマヨサラダ

ゆでキャベツの梅おかかあえ

レタスののりじゃこサラダ

本書に掲載されている料理である。どれもその名から、どんな一皿になるかがぱっと目に浮かぶのではないだろうか。

作り方も、期待を裏切らない簡単さである。

あらかじめ準備しておくこと、前夜から仕込んでおくべきものなどゼロ。手順の上から順番にやるだけ。あっという間に「小さなおかず」が完成する。

だが、簡単すぎるからと言って、レシピを見ないで作るのはお勧めしない。

経験も加減も必要ないが、本書には失敗しない「コツ」はていねいに書いてある。

失敗しない“コツ”がちゃんとある

例えば「なすの焼き肉のたれ炒め」。

乱切りにしたなすをフライパンで炒めて塩をし、しんなりしたら焼き肉のたれをからめる、とある。かんたん、かんたんと読まずにやると、なすに火が通る前に、焦げてしまうだろう。焼き肉のたれは焦げやすく、なすは火が通りにくい。レシピにはちゃんと、切り方によって火を早く通すコツがある。

さらには飛田さん手製の、レンジで出来る「焼肉のたれ」の作り方まで載っている!

例えば「ゴーヤと魚肉ソーセージのチャンプルー」。

種とワタを取ってスライスしたゴーヤと同じサイズに切った魚肉ソーセージを炒め、しょうゆで味付けし、仕上げにかつお節をかける。

「コツなんてあるのか?」と思いきや、苦みが苦手な人のために、苦みを和らげるやり方、ついでに苦みを取ってしまう方法まで書いてある。

かんたんでていねい、そしてわかりやすい本書。

この2品で、今夜の副菜は決まりである。

なすの火の通し方に一工夫

なすの焼き肉のたれ炒め

材料(2人分)

なす 3本

塩 ひとつまみ

焼き肉のたれ(下参照) 大さじ3〜4

サラダ油 大さじ11/2

作り方

1 なすはヘタを落として長めの乱切りにし、水に5分ほどさらす。

2 フライパンにサラダ油、水けをきった1を入れて塩をふり、中火で炒める。全体に油がなじんだら、ふたをして弱めの中火で3〜4分蒸し焼きにし、しんなりしたら焼肉のたれをからめる。

メモ

なすの切り方はお好みで、大きめに切れば火が通るまで時間はかかりますが、食べごたえはあります。薄めに切れば火通りは早く、カザがぐっと減り、とろりとした口あたりに。肉が入れば、メインのおかずに変身するくらい。どちらも捨てがたいので、旬の間は切り方と味つけを変えて、炒めものを毎日作ってください。

焼き肉のたれ

材料(約11/4カップ分)

玉ねぎ 1個

にんにく、しょうが 各2かけ

しょうゆ 大さじ4

砂糖、みりん 各大さじ3

作り方

1 耐熱容器にみりんを入れ、ラップをかけずに電子レンジで30秒ほど加熱し、アルコール分をとばす(煮きる)。玉ねぎはすりおろし、ざるに上げて水けを軽くきる。にんにくとしょうがもすりおろす。

2 ボウルに材料をすべて入れてよく混ぜ、半日ほどなじませる。

メモ

焼き肉のたれはもちろん、肉、魚の下味に、炒めもの、漬け卵の味つけに。半日くらいおくと、玉ねぎやにんにくの辛みがほどよくぬけて、味がこなれて落ち着きます。保存容器に入れて冷蔵保存し、日持ちは約1週間。

ヘルシーなゴーヤのシンプルな炒め物

ゴーヤと魚肉ソーセージのチャンプルー

材料(2人分)

ゴーヤ 大1/2本

魚肉ソーセージ 1本

塩 ひとつまみ

しょうゆ 小さじ1

サラダ油 大さじ1

削り節 適量

作り方

1 ゴーヤは縦半分に切って種とワタをスプーンでかきとり、7〜8mm幅の斜め切りにし、塩をまぶして10分ほどおく。魚肉ソーセージは、ゴーヤに合わせて斜め切りにする。

2 フライパンにサラダ油、1を入れて中火で炒め、全体に油がなじんでゴーヤの断面が透き通ってきたら、しょうゆを加えてひと炒めする。器に盛り、削り節をかける。

メモ

魚肉ソーセージに味があるので、調味料は少なめに。ゴーヤは塩をしておくと苦みがやわらぎますが、さらに苦みをとりたいなら、塩をつけたままさっと湯通しするといいです。

飛田和緒が「いますぐ1品増やしたい」時に勧める「絶対失敗しない副菜」の極意