中国で「牛乳の消費量」が激減している…!「没落する中国」を見限る「投資移民」の富裕層たちが、いま最も不動産を買っている「意外な国」の名前
貧困層になけなしの給付金…
自民党総裁選で勝利した石破茂氏が首相に就任し、その外交手腕が注目される。
前編『石破総理が直面する「没落する中国」の脅威…!習近平の「経済無策」で落ちる一方、新たに始めた経済対策もやっぱり小手先という「無残な現実」』でお伝えしたように、とりわけ中国との関係は、これまでのように高度成長で経済力をつけてきた中国ではない。
経済が衰退するなかで、内政問題から国民の目をそらし、外交的な脅威を高めていきかねない「没落していく中国の脅威」だ。
中国共産党は9月26日、中央政治局会議を開いて直近の経済情勢について議論したが、9月に中央政治局が経済の現状を点検するのは異例のことだった。会議の場で習近平国家主席は「(経済情勢の)困難を直視しなければならない」と述べたことを踏まえ、積極的な財政政策を推進し、景気のテコ入れを図る方針を決定した。
ところが、消費刺激に1兆元、地方政府の債務問題対応の支援に1兆元を充ており、その規模は相変わらず小さすぎると言わざるを得ない。
意外だったのは、中国政府が10月1日の国慶節(建国記念日)を前に「一回限りの現金給付を極貧層などに行う」と発表したことだ。支給額などは不明だが、習氏が「福利主義」と言って嫌うバラマキ給付を実施せざるを得ないほど、状況が深刻なのだろう。
牛乳の消費量が激減している…!
国民の貧困ぶりを象徴するのは、中国国内の牛乳消費量の低迷だ。2021年の一人当たりの牛乳消費量(年間)は14.4kgだったが、2022年には12.4kgに減少した。
直近の数字は明らかになっていないが、引き続き牛乳消費量は芳しくないと言われている。懐事情の悪化により、中国では牛乳など乳製品は非必需品の扱いになってしまっているのだ(9月25日付ニューズウイーク日本版)。
バブル崩壊後の日本の不動産価格はピーク時の3分の1まで下がったが、中国でも政府の「不作為の罪」のせいで日本以上に深刻な事態に陥る可能性が高い。日本の場合、バブル崩壊で痛手を被ったのは主に不動産企業や金融機関であり、家計は相対的に安泰だった。
だが、中国の場合は訳が違う。不動産部門が長年にわたって経済成長の源泉であったことは言うまでもないが、地方政府にとっても最大の財源だった。
家計にとっても不動産は最大の金融資産(例えば2軒以上の住宅保有)であり、日本のように社会保障が整備されていない中国では、老後の唯一の備えであった点も見逃せない。
中国ではバブル崩壊の影響が地方政府や家計にまで広がることが避けられず、国全体の政情不安が高まる危険性を内包していると言っても過言ではない。
若きエリートたちの絶望
中国の現状に最も不満を感じているのは若年層だ。
中国政府が20日に発表した8月の若年層(16~24歳、学生を除く)の失業率は18.8%と前月の17.1%から上昇した。昨年12月以来の高水準だ。
若年層の雇用難は、統計以上に深刻なこともわかってきている。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は24日、「一部の大学では今年の大学院生の数が大学生の数を超えた」と報じたが、有名大学ではすでに当たり前になっている現象だ。
大学院に進学しなければ即失業者になってしまうからだ。例えば、習氏の母校である北京清華大学は昨年12月「前年の新入生は3760人だったが、博士課程に進んだ学生数は1万2069人だった」と発表している。
国内で巻き起こる賃金カットの動きを踏まえ、中国政府は25日「賃金上昇を伴う形での雇用確保に努める」との指針を公表したが、空念仏の感は否めない。
難関を乗り越え、優秀な働き手となった人たちの士気の低下も危惧されている。
米ブルームバーグは9月20日、「中国の勝ち組直撃、数百万人幻滅―有能な働き手の士気そぐ危うい政策」と題する記事を配信し、「政府による締め付けにより引き起こされた彼ら(若きエリートたち)の幻滅は、経済成長を危うくするばかりか、広範な社会危機につながる恐れがある」と結論づけている。
イギリスに不動産を買っているのは「中国人」
猛烈な勢いで進む高齢化も、頭の痛い問題だ。
中国政府は13日、法定退職年齢を約70年ぶりに引き上げたが、来年から15年かけて3歳引き上げるとしており、「あまりに生ぬるく効果はゼロ」との声も聞こえてくる。
中国でも認知症対策は焦眉の急だ。中国の認知症患者は2019年に900万人を超え、毎年20万~30万人のペースで増加している(日本の認知症患者数は2022年時点で約440万人)。
経済の低迷が続き、豊かになる前に高齢化が始まった国の現状に悲観したからだろうか、中国の富裕層の国外脱出の勢いは強まる一方だ。
中国メディアは「富裕層の約70%が移民を計画している」と報じている。日本でも中国からの「投資移民」が急増しているが、英国でも同様だ。
不動産業界関係者によれば、英国の不動産を最も購入しているのは英国人ではなく、中国人だ(9月23日付日本経済新聞)。
「張り子の虎」と化しつつある中国、国力低下は避けられないのではないだろうか。
石破総理は、社会不安がますます渦巻く中国と対峙せねばならないのである。
日本と中国の緊張関係の深刻化が懸念される。
さらに連載記事『「中国EV」が欧州の港で大量ストップ…!止まらない欧米の中国包囲網は「プラスチック」へと飛び火!習近平「経済無策」の悲惨な代償』では、内政事情だけではない中国EVの苦しい事情を解説しているので、ぜひ参考としてほしい。
「中国EV」が欧州の港で大量ストップ…!止まらない欧米の中国包囲網は「プラスチック」へと飛び火!習近平「経済無策」の悲惨な代償