日産、ホンダ、JR東海が軒並み「超”割安”」の怪現象…!日本株、つぎの上昇相場の前に知っておきたい優良株たちの「秘められた実力」

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誰も知らない「超優良“割り安”株」の存在

米国の利下げ開始以降も、日本株市場は上下に激しく動く展開が続いている。

この背景としては、米国の景気の鈍化懸念と大幅利下げ実施の継続への期待感が交錯していることが要因と思われる。そして、この複雑に絡み合う期待と不安が反映された結果として、一部の企業で非常に歪な株価と財務の形が出来上がってしまっているのが今の日本株市場の現状だ。

その代表例が、PBR(株価純資産倍率)の格差の拡大だろう。

一例として、誰もが耳にしたことのある時価総額1兆円以上の大型株に限定して、時価総額の低い銘柄の順に並べると、下位20社は以下のようになる。

図:時価総額1兆円超の低PBR銘柄ランキング

「この企業のPBRがこんなに低かったのか」と驚くような銘柄も存在するだろう。

あの世界を代表する大手自動車の日産自動車が、0.3倍割れだ。そしてその顔ぶれの多くが、大手の製造業や資源、金融といった景気敏感株に偏っていることが分かる。

これはつまり、これまでの円安や好況によって稼いだ現金は蓄積しているが、今後の先進国景気の鈍化に備えて積極的に事業投資を拡大することもできない状態の中で、景気後退懸念に巻き込まれる形で株価が軟調に推移してきた結果であることは疑いない。

内需株ではこの逆の減少が起こっているが、何にしてもこの市場内のPBRの歪みの発生は、現在の経済環境を考慮すれば必然であったといえる。

そして、さらに驚きなのが、この景気敏感株の低PBR化の「程度」だ。たとえば、前掲の表の中にも多く含まれる大手自動車3社を例とすれば、現在の状態はリーマンショック時やコロナショック時とほぼ同じか、それよりもPBRが低い状態にある。

図:自動車大手3社のPBRの推移

特に目立つのは前述の日産自動車だが、その他2社も状況に大差はなさそうだ。線が入り組んで分かりにくいので、上記3社の平均値の推移を見ると、その異常さを一目で理解できるだろう。

図:自動車大手3社のPBR平均値の推移

アクティビストが目をつける「優良株」

それだけ割安な状態にあると表現すれば聞こえはいいが、世界的な金融危機でもなく、疫病のパンデミックでもない現在において、それらの異常な環境と変わらないほど一部の大手企業が評価されていないというのが正しい表現であるように思われる。

もともと製造業や資源、金融はそのグローバル景気への感応度の高さから割安に評価されやすいことが知られているが、それを考慮してもこの割安感には違和感を覚える。

しかし、裏を返せば、一部の企業では、その財務の健全性に比して株価が非常に割安な状態で放置されていることは事実だろう。

一般に、PBRはバランスシート上の純資産をもとに解散価値を測る指標として用いられることが多く、企業を買収して解散した際に元が取れるのかどうかを判断するための指標だ。

貸借対照表の利益ベースで投資資金の回収効率を見るPER(株価収益率)と異なり、よりリアリティを有した指標といえるが、ここまで極端に低PBR化が進行すれば、今後こういった企業の買収を意図した投資が活発化する可能性も出てくるように思われる。

そこで、今回は、このバランスシートを基準とした割安性および解散価値について、PBRよりもさらに厳密に実務的な現実性を付加する形で株価の高低を判断し、バイアウト系のファンドやアクティビストが積極的に買収や経営改善を狙う価値のある高クオリティな割安銘柄を選定していきたい。

後編『パナソニックも東レもPBRが1倍割れで超安い…それでも内部留保たっぷり!アクティビスト垂涎の「最高の割安42銘柄」を一挙公開する!』で、じっくりと解説し、優良割安銘柄を吟味していこう。

パナソニックも東レもPBRが1倍割れで超安い…それでも内部留保たっぷり!アクティビスト垂涎の「最高の割安42銘柄」を一挙公開する!