安倍晋三「タブー視してはならない」…政府要人が本音で語る「日米”核”軍事一体化」の真実に驚愕!

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知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化していた日本

日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?

政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?

国際情勢が混迷を極める「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。

※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。

米国「核の傘」への信頼高めるために…

ブッシュ(子)政権でアジア太平洋安全保障担当の国防副次官を務めたリチャード・ローレスも、日本の核武装の可能性を主張する米国の安全保障専門家の一人です。

同氏は2020年、次のように指摘しました。

「もしこの二つの隣国(北朝鮮と中国)の脅威に対する米国の抑止力が弱体化していくことを日本が少しでも認識することになれば、今後数年以内に日本が核の専門知識を生かし、必要な行動に出るという決断に舵を切る可能性は大いにあり得る」(「Wedge Online」2020年11月27日)

ローレスは、日本に核武装の道を歩ませないためには米国の「核の傘」の信頼性を高める必要があるとし、その具体策として「日本本土への中距離核戦力(INF)システムの導入」を提案しています。

米国政府は日本に地上発射型中距離ミサイルを配備し、通常弾頭だけでなく核弾頭も装着できるようにするべきだと主張しているのです。

さらに、その運用はNATOの「二重鍵」方式にならい、日本と共同で行うべきだと提案しています。

「これらの次世代INFシステムは、何十年にもわたり北大西洋条約機構(NATO)に貢献してきた『二重鍵』方式(dual-key arrangement)に類似したものになることが理想である。これには指揮命令構造の統合に加え、日米両国がその発動権限を持つことが必要不可欠となる。これらのシステムでは、共同計画に基づいて戦術目標・戦略目標が定められ、共同配備の質を担保するため十分な演習や訓練が行われるだろう」(同前)

NATO「二重鍵」方式とは何か

NATOでは、米国の核兵器を他のNATO加盟国の軍隊が使用できる「核共有」と呼ばれる制度が存在しています。

具体的には、米国が欧州に貯蔵するB61核爆弾を他のNATO加盟国の戦闘機が投下します。現在、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5ヵ国の基地に、米軍のB61核爆弾が計約100発貯蔵されていると推定されています。

「核共有」といっても、核兵器の所有権はあくまで米国にあり、米国大統領の承認がなければ使用することはできません。

同時に、この制度の下で核兵器を使用するには、米国大統領だけでなくNATOの「核計画グループ」での承認が必要です。

「核計画グループ」とは、NATOの核に関する協議体で、不参加の方針をとっているフランスを除くすべてのNATO加盟国の閣僚級(主に国防大臣)で構成されています。ここで承認されない限り、「核共有」用の核兵器を使用することはできません。

また、実際に投下するのは核兵器が貯蔵されているホスト国の戦闘機なので、最終的にホスト国の政府が拒否すれば使用されることはありません。

これが、NATOの「二重鍵」方式と呼ばれるものです。

この制度は、冷戦時代にソ連の核の脅威にさらされていた西欧で、米国の「核の傘」の信頼性を高めるために設けられたものでした。西欧の非核保有国が米国と核兵器使用の責任を分かち合うのと引き換えに、米国の核兵器の運用に関与できるようにしたのです。

ローレスは、日本でも米国の「核の傘」の信頼性を高めるため、核弾頭も搭載可能な米国の地上配備型中距離ミサイルを配備し、NATOの「核共有」と類似した制度を導入してその運用に日本政府を関与できるようにするよう提言したのです。

ローレスはさらに、核・非核両用の中距離ミサイルを搭載した潜水艦を日米で共同運用する方式も提案しています。「この方式を導入すれば、INFシステムの運用が海域で可能となる一方、その拠点を日本と米国の領土(グアム)に置くことができるため、陸上のみで運用するよりも抗堪性・信頼性を高めることが可能となる」(同前)とその利点を強調しています。

「核共有」を検討すべきと主張する人々

ローレスの提言どおり、日米間でNATOの「核共有」と同様の制度が導入されれば、米国の核弾頭を搭載した中距離ミサイルを自衛隊が発射することになるかもしれません。

いくら日米の軍事的一体化が進んでいるとはいえ、さすがに「唯一の戦争被爆国」である日本がそこまですることはないだろう──ほとんどの人はこう考えると思います。しかし、この日本には現実に「核共有」制度の導入を検討すべきと主張する政治家や元自衛隊最高幹部などが存在しています。

ロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年2月下旬、テレビ番組に出演した安倍晋三元首相がNATOの核共有制度に触れて、「日本はNPT(核兵器不拡散条約)の締約国で非核三原則があるが、世界の安全がどう守られているかという現実についての議論をタブー視してはならない」と発言しました。

これを受けて「日本維新の会」は、「核共有による防衛力強化」の議論を開始するよう求める提言書を発表し、政府に提出しました。同党は、同年7月に行われた参議院選挙の公約にも、核共有も含めた核抑止力に関する議論を日米間で開始すると明記しました。

陸上自衛隊の「南西の壁」構想にかかわった番匠幸一郎・元陸上自衛隊西部方面総監は、地上発射型中距離ミサイルの日米共同運用を進める先に核共有も見えてくる、と主張しています。

「重要なのは、このような長射程の打撃能力をどのようにして持つのかということです。私は日本単独でやるより、日米共同で進めるのが良いのではないかと思います。ミサイルそのものを保有するだけで完結するものではなく、情報収集などインテリジェンスやターゲティングをどうするか、それを支えるシステムも非常に高度で複雑になってきていますから、まさに日米同盟の真価を発揮すべき分野だと思います。(中略)私はコンベンショナルなもの(通常兵器)からスタートして、日米の協力が深化する象徴として、その先に核シェアリングの話も出てくるのだろうという気はしています」「私は、一つのアイデアとして、ドイツ型のニュークリアシェアリングを真剣に検討し、日本の核戦略を考え、それに基づく抑止態勢を構築することの価値は大いにあると思います」(『核兵器について、本音で話そう』新潮新書、2022年)

番匠は2023年12月、防衛大臣の政策参与に任命されました。

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