「パニック症」と似た症状、「社交不安症」「適応障害」とは

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

社交不安症とパニック症の違いは?

人から見られたり、注目を浴びたりしたときに顔が赤くなったり、汗をかいたり、体や声がふるえたりするのはよくあることです。吐き気がしたり、息苦しくなったりすることもあります。いずれも緊張によってもたらされる自然な反応ですが、「汗がひどい」などと意識すればするほど、身体症状が強まるという悪循環が生じやすくなります。それがパニック発作のもとになることもあります。

人前に出るたびに強い恐怖や不安を感じ、そうした状況に直面するとパニック発作が起こりやすいのであれば、社交不安症の可能性があります。「今度もうまく話せないのではないか」「変なやつだと思われる」など、ネガティブな予測やイメージが勝手にわきあがり、人づきあいを断つ・出かけないなど、不安を感じる状況を避けるようになっていきます。社交不安症は、社会生活を送るうえで大きな支障になりやすく、うつ状態に陥る人も少なくありません。

パニック発作が起こるのは対人場面のみで、恐れている状況から離れればおさまるならパニック症ではなく社交不安症、対人場面でとくに多いが、ひとりでいるときに起こることもあるなどという場合はパニック症と社交不安症が併存していると考えられます。治療の進め方は共通するところが多いものの、行動を変えるために取り組む課題などは変わってくることもあります。正確な診断を受けておきましょう。

適応障害といわれました。パニック症との違いは?

パニック発作をくり返している人のなかには、「適応障害(適応反応症)」と診断されている人もいるでしょう。適応障害は、日常の強いストレスが原因で、抑うつや不安、イライラなどの症状が現れている場合につけられる診断名です。パニック症もストレスと無関係とはいえませんが、ストレスが直接の原因になるわけではありません。ストレスの影響をどうとらえるかが、両者の違いといえます。

「適応障害があるためにパニック発作をくり返している」と考えられる場合には、ストレスを減らすための環境調整をはかっていくことになります。適応障害の症状はうつ病とも重なりますが、ストレスがない状況では、比較的穏やかに過ごせるのがうつ病と違うところです。ストレス要因がなくなれば改善していくことが期待できます。

環境の調整をはかってもなお改善がみられない場合には、改めて診断を受け直し、治療方針を見直していくのも一法でしょう。

続きは<「うつ」と「パニック症」の関係性は? トラウマでも「パニック症」は悪化する?​>で公開中。

「うつ」と「パニック症」の関係性は? トラウマでも「パニック症」は悪化する?