日本株、まさかの「石破新総裁」誕生でこれから注目の「プロ厳選・防衛関連銘柄5選」を実名紹介

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岸田文雄首相(自民党総裁)の総裁任期満了に伴う自民党総裁選挙では、石破茂氏が勝利を収めた。石破氏は臨時国会初日の10月1日の首相指名選挙を経て、新内閣を発足させる見通しだ。株式市場では高市早苗氏に対する熱望ムードが強かったことから、石破政権誕生へのご祝儀相場が盛り上がる期待は乏しそうだが、やや予想外の結果となったことを受け、改めて物色意欲が高まるテーマや関連企業もあるだろう。

具体的な政策は今後の組閣や所信表明演説などを通じて徐々に明らかとなるが、これまでの政策や発言等からは(1)防衛関連、(2)防災関連、(3)地方創生、(4)金融正常化、(5)原子力発電、などに注目が集まりそうだ。

特に防衛庁長官や防衛相を歴任した石破氏にとって、国防はライフワークでもある。アジア版の北大西洋条約機構(NATO)の創設構想が実現すれば、経済安全保障だけではなく、気候変動や先端技術の分野でも連携が期待される。三菱重工<7011>、IHI<7013>、日本製鋼所<5631>などに続く防衛関連の企業に注目してみたい。

三菱電機(6503)

■株価(9月27日時点終値)2457.5円

日本政府の防衛予算増加に伴い、2023年度の受注額は前年度比2.9倍の約3,700億円、2024年度はさらに1.5倍の増加が見込まれている。三菱電機では、飛翔体誘導システムやレーダーの受注が急増しており、会社側も受注増加への対応として、防衛・宇宙事業へ1000人規模の人員増強で体制を整えたばかりだ。

防衛で培われた技術は宇宙事業へも広がる期待が大きい。同社がシステム開発を担当した小型月着陸実証機「SLIM」は、世界で初めて高精度な月面着陸に成功している。さらに、国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」では、航法誘導制御技術を活用し、月周回ステーションにも参画している。

主力事業も好調で、2025年3月期の営業利益は連続最高益となる見込みだ。データセンター向け業務用空調の需要拡大や、ファクトリーオートメーション(FA)システム事業の採算改善が貢献しよう。中期経営計画では2026年までに6000億円を株主還元に充てる方針を掲げている点も注目できる。

新明和工業(7224)

■株価(9月27日時点終値)1349円

防衛省は2025年度予算案の概算要求を公表し、前年度比7.4%増の8兆5389億円を計上した。過去最大の予算計上により、新明和工業の主力である特装車事業や航空機事業にも追い風が吹くだろう。

飛行艇製造技術に優れる同社は、防衛省向けに救難飛行艇「US-2」を納入している。「US-2」は海上自衛隊が運用する国産唯一の水陸両用飛行艇で、波高3メートルの海でも着水できる性能を持つ。また、長時間飛行に強みを持つ固定翼無人航空機(ドローン)は、災害現場での活用も期待されている。最近では、電動やエンジンで飛ぶ無人航空機の事業化に挑戦することが報じられたことも話題となった。

2027.3期を最終とする中期経営計画における目標値は「売上高3200億円、営業利益180億円」だ。株主還元ではDOE(株主資本配当率)3%程度の安定配当目指すなど、高配当利回り銘柄としても注目される。

NEC(6701)

■株価(9月27日時点終値)14280円

国内最大級のITサービス事業が安定性を担うほか、成長性を牽引しているのが社会インフラ事業だ。後者の中でも特にANS(エアロスペース・ナショナルセキュリティ = 宇宙・防衛)は目覚しい伸びを示している。防衛省向けでは、人工衛星をつなぐ地上管制システムやレーダー装置、国家安全保障領域に関わるセキュリティ通信機器などを提供しており、数年後の利益貢献度は相当規模に拡大しそうだ。

これらの防衛専用ネットワークや海底ケーブルを応用した光通信技術は災害時にも活用できる。例えば衛星から収集したデータを災害監視に活用すれば、復旧や支援活動の迅速化につながることが期待できる。

経済安全保障の観点からは、生成AIや生体認証技術で先行する関連製品やサービス、基地局インフラの新通信網「オープンRAN(ラン)」なども注目を集めている。防衛と防災をともに政策の重要課題に掲げる石破政権下では、需要の高まる技術を豊富に持つ企業といえるだろう。

FFRI(3692)

■株価(9月27日時点終値)2899円

サイバーセキュリティーの専業企業。NEC<6701>ともサイバーセキュリティー分野で協業体制を構築し、ネットワークに接続されているPCやサーバー、スマートフォンなどに対する標的型攻撃を防ぐ「FFRI ヤライ」をOEM(相手先ブランドでの製造)提供している。

高市氏がサイバーセキュリティーの強化を骨格政策のひとつに掲げていたことから、自民党総裁選直前までは高市氏関連として物色される機会が多かった銘柄だ。もっとも、石破氏もサイバーセキュリティーに取り組む人員や予算の拡充を政策のひとつに挙げている。防衛分野の中でも、いまやサイバー防衛は最重要課題ともなりつつある。

サイバー攻撃は日を追うごとに高度化・多様化が進み、サプライチェーン(供給網)の弱点を狙う深刻な攻撃も増えている。こうしたなか、日本はソフトウエアの脆弱性に対する対応スピードがもっとも遅い先進国のひとつであり、常に海外からのサイバー攻撃の標的対象とされている。標的型攻撃のセキュリティ対策ニーズは自ずと高まるだろう。

東京計器(7721)

■株価(9月27日時点終値)3405円

主力の防衛・通信機器事業では、独自のマイクロ波応用技術や慣性センサー技術に強みを持つ。危険な周波数を瞬時に捉え、パイロットに警報を与える「レーダー警戒装置」や、潜水艦を安全・確実に導く「慣性航法装置」などにも応用されている。

防衛予算の増加を背景に、受注残高は過去最高を更新中だ。2025年3月期1Q(4-6月)段階では500億円を突破し、2024年3月期末の447億円から、さらに弾みをつけた。2025年3月期1Q(4-6月)こそ季節要因で営業損失となったが、通期では前年同期比273%増を見込んでいる。2Q以降はまさに実りの秋が訪れることが期待される。

中期経営計画では、2026年度までの3ヶ年を「成長に向けた飛躍」と位置づけ、過去最高の営業利益(2007年度の38.5億円)の更新を目指している。同社は商船向けジャイロコンパス(方位を知る羅針儀)や自動操縦システムで世界シェア6割以上を占めるグローバルニッチトップ企業でもあり、成長ドライバーのひとつである宇宙事業でもコア技術が活用されるだろう。

「日本の未来を守り抜く」をキャッチフレーズに掲げる石破氏だが、法人増税や金融所得課税の強化にも意欲を示しており、株式市場では戦々恐々としたムードが強まっている。財政再建は未来につながる必要課題だが、タイミングを間違えた拙守により長期低迷を招いた黒歴史だけは繰り返したくない。未来を守り抜くためにも、過去の教訓は生かしてほしいところだ。

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