「パニック症」になるのは気が弱いだけ? よくある世間の誤解を名医が解説

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

パニック症はどのように診断しますか?

心の病気や障害の診断は、国際的な診断基準(DSMなど)をもとに、ある人の症状が、ある病気・障害の診断基準を満たしているかどうかをみながら決められていきます。

パニック症の場合、くり返す発作が、身体的な異常や摂取したものの影響で生じる症状ではないこと、予期せぬパニック発作が2回以上くり返されていることが、診断の前提になります。そのうえで、発作への予期不安や回避行動がみられること、そのような状態が、パニック症とは別の心の病気や障害によるものとは考えられない場合に、パニック症と診断されます。

身体的な異常の有無は各種の検査によって確かめていきますが、パニック症の診断には問診が重要です。問診では、どのような状況で発作が起こるか、生活にどう影響しているか、症状について尋ねられます。発作の現れ方は、ほかの心の病気や障害と区別するために重要な情報です。

また、服用している薬の有無や種類、飲酒・喫煙の習慣、よく飲むものなどについても尋ねられます。薬やアルコールの影響で、パニック発作と誤解されやすい症状が生じたり、カフェインのとりすぎや喫煙が、パニック発作に結びついたりすることもあるからです。

受診した際にきちんと医師に伝えられるように、あらかじめ整理しておきましょう。

気が弱いだけ、性格の問題のように思えるのですが……

致命的な病気ではないということがわかり、ホッとする半面、身体的な異常はないからこその悩みも生まれやすいのがパニック症です。「気が弱いせい」「性格の問題」などと自分に対して否定的な気持ちをもつようになる人も少なくありません。また、周囲から非難めいた言葉を投げかけられ、ますます自信をなくしてしまったりする人もいます。

しかし、パニック症は基本的には「危険を察知しやすい」という脳の感度の問題です。不安や恐怖をひんぱんに感じるのは、人よりもすぐれたセンサーをもっているからです。そうした自分の特質を踏まえたうえで、なにができるかを考えていきましょう。

周囲の人が病気に対する正しい知識を学び、本人を追いつめる対応を避けることも重要です。

続きは<「パニック発作」が起きるのは、決まって電車の中。「広場恐怖」の真実>で公開中。

「パニック発作」が起きるのは、決まって電車の中。「広場恐怖」の真実