『私の生理のしまい方』より


【漫画を読む】『私の生理のしまい方』を最初から読む

40歳を過ぎ、閉経に向かってホルモンのバランスが変わる時期は、心身のバランスが不安定になることで、さまざまな不調が出やすい時期です。

疲れやすい、眠れない、気分の乱高下…など、自分でも原因が分からない症状の数々に、不安になる女性も少なくありません。

イラストレーター・原あいみさんが描く更年期世代のリアル体験記『私の生理のしまい方』は、40代からの女性の不調について、実際の大人女性から募った体験談をマンガ化した作品。「まるで私のことかと」「将来に希望が持てた」などの読者の声がたくさん寄せられています。

作者の原さんは現在40代なかば、これから本格的に「更年期世代」を迎える当事者世代。この作品を執筆したことで実生活にも変化があったという原さんにお話を伺いました。

■取材を通して「更年期世代の不安」に向き合ってみたら

――閉経前後の心身の変化との付き合い方や、40代50代の夫婦関係のあり方など、更年期世代の方々を取材したエピソードが非常にリアルで参考になりました。かなりプライベートな内容をここまで具体的に取材できた理由は何だと思われますか?

原さん

「以前から人にインタビューをして漫画にするというお仕事をすることが多く、私が人に話を聞くこと自体が好きで、おもしろいと感じているからかもしれません。

でも、まだ自分自身が更年期の不調をリアルに経験していなかったので、本当に聞き出せているか不安も大きかったです。

もっと傾聴のスキルを磨きたい!と思い、実は制作中にノンフィクションライターさんの講座を受け、その教えを取材に活かせたのではと思っています」

『私の生理のしまい方』より


――書籍の執筆前後で、原さんご自身の心境の変化はありましたか? 

原さん

「執筆中は46歳だったので『更年期』というワードには敏感になり始めてはいたものの、『閉経』自体はまだまだ先のこと、というどこか他人事な感覚がありました。それと同時に、どんな事が自分に起こるのか具体的によくわからないことで、漠然とした不安はあるという感じで…。

今回、色々なパターンの女性のリアルを伺うことができたことに加えて、監修者で医師の関口先生から専門的なお話を伺えたことで、それほど怖がることはないのかなと思うことができました。そして、今からできることを明るく前向きに取り組みたいと思えましたし、不調にいち早く気付けるように自分の身体の変化に、日々ちゃんと耳を澄ませようと思えるようになりました」

『私の生理のしまい方』より


――その関口先生への取材では「婦人科の選び方」のお話が印象に残ったとのことで、コラムページでも婦人科の選び方について紹介されていますね。

原さん

「関口先生から伺った、お医者さんも『人』なので、相性もあるから3件回れば1件は合う病院が見つかる、くらいの感じで探すとよいというお話がとても印象に残りました。

そこで私も、自宅近くでいくつか候補を上げたなかから、更年期専門の先生がいて、明るい印象のクリニックで初診を受けてみました。実際に先生や看護師さんと会って、話しやすいと感じたこと、予約のシステムなども分かりやすかったことから、そこを私の婦人科のかかりつけ医にしようと決めることができました。

何か不調があったらあそこに行けばいいんだと思えるだけで、安心感があります。ちなみに不妊治療中に通っていたかかりつけ医もあるので、現在2つある状態です!」

『私の生理のしまい方』より


――原さんご自身はこれから本格的に更年期を迎える世代とのことですが、体調面で何か変化はありましたか? 

原さん

「今のところ、大きな不調はまだありませんが、生理期間の日数が減ってきたなぁと感じています。白髪が増えた!老眼がひどくなった!など、老化を突きつけられてちょっぴり残念に思うことは多々ありますが、白髪が増えてもおしゃれに見える髪型を工夫したり、いい感じのリーディンググラスを買ったりと、変化を受け入れて、少しでもワクワクする方へ気持ちを持って行くようにしています。

運動不足だけは、いまだなかなか習慣化できず…。ジムの体験に行ってみたり、フィットネスゲームをめちゃくちゃ真剣にやってみたりと、あれこれ試行錯誤中です。つねに自分に合うものを探して『何か』はやっているので、飽き性の自分としてはあれこれ試しているのも楽しい!と、思って引き続き色々トライしようと思います」

――書籍のタイトルを、生理の「終わり方」や「終え方」ではなく、「しまい方」になさったのはなぜでしょうか?

原さん

「編集担当さんからご提案いただいたものなのですが、生理の終わりを待っているとか、迎える感じではなく、自ら上手にしまっていくような、前向きな雰囲気にしたいねという会話から生まれました。『生理のしまい方』というワードを聞いたとき、当事者世代として直感的に、いい!と感じたのを鮮明に覚えています」

『私の生理のしまい方』より


――たしかに「更年期」というと、どんなものなのか分からないことが多いがゆえに、後ろ向きなイメージになってしまうこともありそうですね。

原さん

「編集担当さんとも話したのですが、私たちの世代が一番知りたいのは40歳以降で不調を抱えたことのある方の体験談なのではないかと。『閉経って、どんな感じでくるの?』と疑問に思っても、身近な人にさらっと聞きにくいテーマなので、その役割を本書でできればと思いました。

そして、読者の方が体験談を読んだ先に、『私はこんな風に閉経していきたい』と前向きに思っていただけたらという願いを『しまい方』というタイトルに込めました」

***

「よく分からないけど大変そう」「きっと辛いんだろうな」…と、「更年期」に対し漠然とした不安をもっている方は多いはず。実際に体験して乗り越えた方々や、それぞれの心や身体への向き合い方を知ることで、自分なりの対応を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

取材・文=山上由利子