(右から)立憲民主の野田新代表、重徳和彦政調会長、小川淳也幹事長(C)日刊ゲンダイ

写真拡大 (全4枚)

「この人事がプラスになるように頑張らないと」──。立憲民主党の新執行部に、ある所属議員は複雑な心境をのぞかせた。野田佳彦元首相を新代表に選出した立憲が24日、両院議員総会で執行部人事を決定。来たる総選挙に備えて一致団結、新たな船出と行きたいところだが、そう単純でもないようで……。

【もっと読む】どうする? 野党候補一本化「競合88選挙区」…立憲・野田新代表「最初にして最大の試練」

 3人の代表代行は新たに長妻昭前政調会長を起用し、辻元清美参院議員は留任。大串博志衆院議員が選対委員長を続投のうえで代表代行を兼務する。幹事長に小川淳也元政調会長、政調会長には重徳和彦衆院議員を抜擢した。

 従来のメンバーを残しつつ、中堅を要職に据えることで「刷新感」を打ち出す狙いだが、早くも聞こえてくるのは不協和音。「露骨な論功行賞じゃないか」との声が漏れている。

「野田代表は『挙党体制で政権を取りに行く』と意気込んでいますが、執行部の顔ぶれは『野田応援団』の面々です。刷新感と言えば聞こえはいいものの、両院議員総会での新執行部の発表に拍手はまばらで、ドッチラケの雰囲気が漂っていました」(立憲関係者)

 シラケムードになるのも無理はない。新政調会長の重徳は代表政務室長として泉健太前代表を支える立場だったはずが、野田に代表選出馬を要請して支援。新幹事長の小川は代表選の告示直前、枝野幸男元代表を推す党内最大グループ「サンクチュアリ」から離脱して野田支持に回った経緯がある。

「特に小川さんへの不信感が根強いようです。映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で脚光を浴びて以来、次期代表との呼び声は高い一方、言動に危うさが拭えない。2021年の衆院選で、自民党の平井卓也元デジタル相との一騎打ちとみられていた自身の選挙区である香川1区に維新候補が割って入った際、維新側に擁立を見送るよう直談判した一件が評判に影を落としています。直情径行な性格で、党内のまとめ役である幹事長が務まるのかどうか」(前出の関係者)

■選挙見据えた「暫定人事」

 党内から「なぜ君は幹事長なのか」と不安視する声が出ているが、ある中堅議員は達観した様子で言う。

「近く総選挙があるとされる中で四の五の言ってられませんし、議員の多くは『暫定的な人事』と受け止めていると思います。選挙だけを見据えた結果、幹事長は誰でもよかったのではないか」

 不満くすぶる党内をまとめられるのか。新執行部の手腕が問われる。

  ◇  ◇  ◇

 野田佳彦新代表の最初にして最大の試練は、持論である野党候補の一本化だ。その“舞台裏”について、●関連記事『【もっと読む】どうする? 野党候補一本化「競合88選挙区」…立憲・野田新代表「最初にして最大の試練」』で詳報している。