自民党長老たちの「仁義なき総裁選バトル」!森喜朗が大暴れ、菅の「電話かけまくり作戦」、そして麻生は「棄権しようかな…」

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テレビ討論会で政策を戦わせる候補者たち。本来なら、そうした論戦で票を集めるべきかもしれないが、実際はそれで勝負が決まるわけではない。水面下で行われる老獪な駆け引きが今後の展開を左右する。

義弟にも裏切られ焦る麻生

「進次郎が総理になったら俺は亡命する」

麻生太郎は最近、親しい記者や議員に冗談でこうこぼしているという。

過去最多となる9人が立候補した自民党総裁選。1回目の投票ではどの候補も過半数を獲得することができず、上位2名による決選投票になるのは確実と見られている。

長老たちは自分の意中の候補をいかに決選投票に残すかが勝負となるが、麻生は現状、厳しい戦いを強いられている。ある自民党関係者が説明する。

「麻生さんは河野太郎さんを応援していますが、広がりに欠けています。麻生派内の若手の一部は小林鷹之さんの支持にまわっていますし、上川陽子さんの推薦人には麻生派から9人もの議員が名を連ねています。麻生さんの義弟である鈴木俊一財務大臣ですら上川支持を明言しました。鈴木さんら麻生派ベテランは以前から、河野さんを認めていません。麻生派は空中分解しています」

国民人気の高い石破茂と小泉進次郎が決選投票に残る―これが大方のメディアの見立てだ。こうした報道を目にするたびに、麻生の顔色は悪くなっていったという。麻生派の中堅議員が語る。

「麻生さんからしたら、政敵である菅義偉さんが担いでいる進次郎さんに乗ることだけはありえない。周囲にも『人気投票になっては絶対にいかん』と吹聴しています。

とはいえ石破さんにも乗れない。石破さんは麻生政権下の'09年に、麻生総理に退陣を迫った経緯があり、そのことをいまだに許していないのです」

「悪魔の選択」を迫られそうな麻生は、周囲に「(投票を)棄権しようか」などと語り、なかば投げやりになっているという。

いつの間にか”最強派閥”の菅

一方の菅は「勝利」を目前にして絶好調だ。進次郎陣営の一人が語る。

「菅さんは『進次郎をお願いします』と各所に電話をかけまくっている。国会議員はもちろんのこと、地方の有力議員や各種業界団体のトップらに直接電話して、党員票もかき集めています」

最近、「進次郎以外を支持したい」と断りを入れた中堅議員に対して、菅はこうすごんだという。

「決選投票では、わかっているんだろうな」

こうした菅の動きについて、まだ総裁選への出馬を画策していた頃の野田聖子は、討論番組でこう表現している。

「新しい派閥が出現していますね。菅さんはとても強いです。『菅さんにお世話になった』ということで、無派閥(の議員)に声をかけてもブロックされてて……」

脱派閥を掲げてきたはずの菅が無派閥議員たちを束ねて、まるで「派閥の領袖」のように振る舞っているわけだ。

総裁選には若手や女性が立候補して、古い体質が刷新されたかに見える自民党。しかし、裏ではいまだに長老たちが自らの権力を守ろうと暗闘を繰り広げている。

オワコンなのにキングメーカー気取りの森…

そんな自民党の内実を喝破したはずの野田本人も、長老たちの思惑に引きずり込まれていく。安倍派の閣僚経験者が語る。

「野田さんは石破さんと連携してきたはずなのに、突如として進次郎の推薦人に名を連ねた。野田さんが心変わりした背景には、『安倍派のドン』である森喜朗さんの懐柔があったと言われています」

菅と並んで進次郎を強力にバックアップしているのが森だ。地元・石川の北國新聞のインタビューに久々に登場すると、「党の代表としては進次郎さんが一番いいと考えている」とべた褒めした。

さらに「萩生田(光一前政調会長)さんとはいろいろ話をしている」と、子分を使って暗躍していることをにおわせた。安倍派の中堅議員が語る。

「森さんは、小林鷹之を中心になって担いだ佐々木紀さんを、『進次郎をやれ』と言って引き剥がした。佐々木さんは森さんの選挙区の後継者だから逆らえるはずがない。

だが、裏金問題と旧統一教会問題が再燃している今、森さんがでしゃばってくるのは迷惑だろう」

(文中敬称略)

過去最多となる立候補者数に、一か月半の長期戦。後編記事『「高市総理」を阻もうと「あの勢力」が動き出した…!一方、「石丸フィーバー」仕掛け人が高市陣営に加勢で「逆転大作戦」を激白!』では、見通しのつかない自民党総裁選で急浮上しつつある高市の「ウラ」と、未だ動かぬ岸田の思惑を読み解く。

「週刊現代」2024年9月28日号より

「高市総理」を阻もうと「あの勢力」が動き出した…!一方、「石丸フィーバー」仕掛け人が高市陣営に加勢で「逆転大作戦」を激白!