化石燃料関連への融資約7兆ドルが租税回避地を経由=英NGO調査

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John O'Donnell

[フランクフルト 11日 ロイター] - 銀行から化石燃料関連の会社に融資された6兆9000億ドルが、オランダを含む複数国にある透明性の低い金融拠点を経由していることが分かった。タックスヘイブン(租税回避地)に反対する活動を行っている英NGO、タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)が11日、調査報告書を発表した。エネルギー企業への融資が透明性に欠けていると強調している。

調査は、世界の銀行60行が2016─23年に石炭採掘業者や海運会社など化石燃料会社に行ったシンジケートローン(協調融資)の6兆9000億ドルを対象に行われた。

調査を行ったTJN幹部は「われわれは、銀行や化石燃料会社が化石燃料に実際にいくら投入したかを隠す『グリーンロンダリング』について警鐘を鳴らしている」と述べた。

オランダは課税率が非常に低い国への資金移動ルートとみなされており、このイメージからの脱却を図るため改革を実行している。財務省の報道官によると、租税回避撲滅に向けて同国経由の資金移動を標的として「悪用の仕組み」に対抗し、低税率の国への資金の流れを減らすなど多くの対策を実施した。

今回の調査で明らかとなった協調融資は、銀行が化石燃料業界に行った融資全体のごく一部だが、TJNは、化石燃料への融資がどれだけ隠匿されているかが示されたと述べた。

投資家や環境保護団体から化石燃料への融資削減を求める声は高まっており、銀行大手はその圧力にさらされている。