1年半ぶりにココイチの「値上げ」が始まった…!売上高絶好調にもかかわらず《8月値上げ》に踏み切った「のっぴきならない理由」

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夏本番、カレーの季節になぜ?

「ココイチ」の愛称でおなじみ「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する株式会社壱番屋は、7月11日、同チェーンのメニュー価格を8月1日より“値上げ”すると発表した。

主な価格改定の内容として、ベースとなるポークカレーが591円(東京、神奈川、大阪の店舗)から645円、ビーフカレーが718円(同)から794円に。トッピングメニューも、ほうれん草+10円、チーズ+22円、ソーセージ+32円など、全50種中45種が5〜50円の値上げとなっている。

振り返れば、ここ数年、ココイチは人件費や原材料費の高騰などを理由に、値上げを繰り返してきた。かつては500円未満、ワンコインで注文できたポークカレーは、2019年3月に505円に。以来、2019年10月、2022年6月、12月と、わずか3年の間に4回も値上げされている。2023年2月に初めて客単価が1000円に到達した。

それにしても7月に入り、夏本番、カレーが食べたくなるこのタイミングで、なぜココイチは更なる値上げに踏み切ったのか。

値上げ発表のおよそ1週間前、7月5日に株式会社壱番屋がリリースした「2024年6月度月次情報」によれば、6月の既存店売上高は前年比12.0%増、客数も6.2%増と、業績は好調だ。ともすれば、今回の価格改定は、その好調ぶりにブレーキをかける決断と言ってもいい。

実は、ココイチだけに限らず、カレー業界全体が値上げを強行せざるを得ない「のっぴきならない理由」があった。

カレーライス物価」が過去10年で最高値

カレー1食分のトータルコストを示す『カレーライス物価』が急上昇しており、過去10年で最高値となっています」

そう語るのは、株式会社帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏だ。

同社が独自に算出している「カレーライス物価指数」。これは、総務省「小売物価統計調査」から、カレーの具材となるジャガイモなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に算出されたものだ。飯島氏が続ける。

「まずカレーの具材は前年同月から15円増加しています。円安の影響で値上がりが続く輸入牛肉のほか、天候不順によりニンジンなどの野菜類も高値で推移していることが影響しています。またライスも、近年のコメ不足の影響から価格高騰が続いており、前年同月から6円増加しています。

その結果、カレーライス物価は、2023年5月には298円だったものが、今年5月には323円と、実に25円も急増しています。さらに農林水産省は、各具材の価格は、今後も『平均を上回って推移する』と発表しています。この状況を加味すれば、ココイチを中心に、外食チェーンがカレー値上げに踏み切るのも無理はありません」

飯島氏によれば、今夏、カレーライス物価はさらに高値更新が見込まれるという。庶民の味として親しまれてきたカレーの危機。ココイチに「値上げ」以外の戦略はあるのだろうか。今後に注視していきたい。

【つづきを読む】『孤児院で育ち両親を知らない…「CoCo壱番屋」創業者の壮絶人生』

孤児院で育ち両親を知らない…『CoCo壱番屋』創業者の壮絶人生